「変わりゆくサンフランシスコになす術が無い」ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ エロくそチキンさんの映画レビュー(感想・評価)
変わりゆくサンフランシスコになす術が無い
変わりゆくサンフランシスコとそこで生まれ育った二人の黒人・ジミーとモントのお話。
ジミーは祖父が建てたと聞かされてきた家に執着する。家族と暮らした記憶があるその家をいつか自分が取り戻すのだと。
ヴィクトリアン様式の歴史的建造物として観光名所にもなったその家は、祖父一人の手で建てるにはあまりにも立派な家だった。
小さいながらも自分の家を持つモントは定職に就き盲目の父と暮らす。彼はジミーを下宿させ何かと支えた。
やがて知る現実。
音楽好きなら知らぬ者はいないビル・グラハムのフィルモア・ウエストがあった地区。自由の象徴だったその地は再開発が進み富裕層が住む高級住宅街と化した。もはやジェファーソン・エアプレインは似合わない。
今作はそこから押し出され行き場所を失っていく人々をデフォルメした。無常感となす術の無さに落ちた。
スケボーで流すサンフランシスコの街の情景に激アツな愛情がにじみ出た。それが微かな救いだった。
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