「チュッパチャップス」GAGARINE ガガーリン ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
チュッパチャップス
どうしても宣伝文に"青春"と書かれていると甘酸っぱい気持ちを体験したくなり観に行く節があります。
結果、どっち付かずの曖昧な映画に仕上がっていました。
青春映画の大きな区分として友情と恋愛が肝になってくる作品が多いと思います。実際自分もそれを求めていました。
恋愛としては宇宙飛行士を目指すユーリと弟と従兄弟と共に暮らすディアナとの恋模様が描かれますが、2人が親密になる空気は作中ほとんど描かれず、それどころか突然イチャイチャし始めてキスをしまくります。それまでに同じ作業をしたりとかの場面はありつつも途中フェードアウトしたりするので困ります。あとキスでモールス信号するのは申し訳ない事に気持ち悪いなと思ってしまいました。しかも、割とお父さんに団地から抜け出すと言われたら速攻で従ってまたフェードアウトするなど、逃避行にでもできた物語をなんでこんな歪な形にしてしまったのか、分からなかったです。
友情についてもオラオラ系の友人たちはシンプルにいじり倒してくるくらいで何かを助けあったり、喧嘩しても再び仲直りしたりなんて全く描かれません。強いてフサームが序盤からコンビのようにつるんでいますが、彼も彼で途中フェードアウトからの終盤近いところで再び帰ってくるみたいな感じなので友情の深さは全くを持って感じなかったです。
家族愛についての映画なのかな?と思ってみても、母親は違う男とホイホイしているのをメールや手紙で知れますが、割とそんな母親に執着しているユーリは帰ってくることを望みますが帰ってくることはないっていう何故この要素を盛った?と思ってしまいました。
宇宙飛行士を夢に掲げてユーリは自分の部屋を宇宙船風に改造しており、部屋では野菜を育てているという遊び心満載の部屋になりますが、そのような費用はどこから捻出されているのかという些細な問題が気になってしまいます。この部屋も逐一映されますが終盤の謎なオチにしか繋がらない、そんな舞台装置に過ぎなかった印象です。
そいでもって終盤、ここからはジャンルが完全にファンタジーになってしまい、何故か夜中に団地を爆破させようとする迷惑さもさることながら、ユーリがのうのうと部屋にいるのにそれを確認していないというザルっぷりには呆れものです。まぁユーリも宇宙に行く準備をずっとしており、何も説明する事なく、考えるな感じろを体現しているかのようでした。最終的に宇宙に飛び出してニッコリしながら終わるというなんじゃそりゃという終わり方でした。
何かを訴えるわけでもなく、何を伝えたいのかも分からずじまいの映画でした。面白い面白くない以前に映画として下手だなと思ってしまいました。
鑑賞日 3/3
鑑賞時間 13:55〜15:40
座席 L-11