劇場公開日 2021年1月1日

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「マッドマックス風ゾンビ・サバイバル映画。」新感染半島 ファイナル・ステージ HALU6700さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0マッドマックス風ゾンビ・サバイバル映画。

2021年1月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

怖い

興奮

京阪神3府県においても緊急事態宣言の再発出がなされる模様となった、今年の2021年1月13日(水)に、滋賀県大津市の大津アレックスシネマまで『新 感染半島 ファイナル・ステージ』の鑑賞に出向いて来ました。
前作の『新 感染 ファイナル・エクスプレス』が様々な人間模様までも上手く描いた非常に良く出来た感動的なゾンビ映画でしたので、その4年後を描いた続編に相当する今作についても、鑑賞前からかなり期待値のハードルを高くして観に行きましたが、率直な感想を申しますと、前作とはかなり趣が違うサバイバル・ゾンビ映画になっていました。

前作があまりにも感動的で、かなり面白かったので今作も必ず劇場で観ようと思っていましたが、今作も、未知のウィルスの感染によって人間が凶暴化し、人を襲い出し、そして感染した人間に噛まれてしまうと同様の症状が発症するという、所謂、典型的なゾンビ映画という点では同じでした。

しかしながら、韓国を高速列車内を舞台にしたゾンビ映画『新 感染 ファイナル・エクスプレス』の4年後を描いてはいるものの、朝鮮半島(原題は、ペニンシュラ。【半島】の意)は、既にゾンビだらけになって世紀末の様相になっているという設定から鑑みれば、『新 感染半島』という邦題も、もはや高速鉄道(=新幹線)に引っ掛けた意味をなさなくなっており、前作の設定は、今作ではほぼリセットなされていることからすれば、もっと内容に即した邦題にしても良かった様にも思えましたね。

ちょっと、受け取りようによっては、前作のB級C級のバッタモノの映画のDVDタイトルの様にも思えて来ますので、例えばですが、もっと内容に近い『感染暴走半島』といった様な邦題にしても良かった様にも思いました。

お話の流れ的には、
元韓国の軍人のジョンソク(カン・ドンウォン)は、未知のウィルスの感染によりゾンビ化が広まった朝鮮半島を船で脱出し、その後、香港で生活していました。
そこで、彼は、3日以内に、半島に放置してあるドル紙幣の大金を積んだトラックを盗ってくる仕事を引き受けて、現在置かれている貧乏生活の境遇からの一発逆転に挑もうとするのでした。
しかし、半島には、ゾンビと戦いながらも生き延びた武装した民兵組織631部隊が支配していたのでした。
ジョンソクが、ゾンビや民兵組織631部隊に追われる中、とある姉妹に助けられるのでした。
果たして、この姉妹の正体は如何に?
そして、ジョンソクは大金を手に入れて、無事に香港に戻ることが出来るのか?

といったイントロダクションの映画でした。

荒廃した街中の幹線道路や狭い路地を使いながら繰り広げられる、目にも止まらない高速ドリフト走行などのカーアクションの連続には思わず手に汗を握るほどでした。
群がってくるゾンビたちをものともせずに、猛スピードで蹴散らしながらSUVやトラックを走らせて、主人公ジュンソクを助けるのが、未だ年端もいかない10代女子のジュニ(イ・レ)。
そして、絶体絶命時に、ラジコンカーを駆使してゾンビたちの気を惹きピンチを切り抜けるジュニの妹ユジン(イ・イェオン)。
特に、10代少女のジュニ。そして彼女たちの母親ミンジョン(イ・ジョンヒョン)による迫力満点の高速ドリフト走行などに代表されるカーチェイスは一見の価値あり。

映画全体のテイストからすれば「北斗の拳」「マッドマックス2」や「マッドマックス/サンダードーム」の世界観に、「頭文字D」のカーアクションを加味したような作品でしたので、4DXやMX4Dなどで鑑賞した場合でしたらば、さぞや凄い迫力だったでしょうね。

たしかにカーアクションはかなりの部分でCG頼りではありましたが、それも闇夜の暗さで巧く誤魔化していて上手く描いてみせていましたので、私個人的にはそんなにも陳腐にも思えなかったです。
それよりも、あまりにご都合主義的過ぎる脚本が、かなり気にもなりはしましたが、面白ければ結果オーライと良い方向に考えましょう。

ただ、非常に悔やまれるのは、前作の『新 感染 ファイナル・エクスプレス』などのゾンビ映画に比べて、今作の場合には、まるでサバイバル系のシューティングゲームやドライビングゲームに興じているような錯覚にも陥ってしまい、ゾンビ自体もゲームの世界の中の敵という感じにしか見えなくて、恐ろしさがほぼ感じられなかったのが玉に瑕でしたね。

また、主人公のジョンソク役のカン・ドンウォンの鬱ろげな表情を見せ場にしようとしているのか、必要以上にスローモーションによる演出が多いのにも気になりましたね。

また、観る角度によって、カン・ドンウォンが日本の漫才コンビのアンジャッシュの渡部建さんに似ている様に見えたり、民兵集団631部隊の隊長・ソ大尉役のク・ギョファンが、漫才コンビのロンドンブーツ1号2号のロンブー淳さんにソックリだったりと要らぬところにばかり気が散ってしまい、真剣に観ていられませんでした(汗)

とは言え、半島に着いて直ぐのゾンビの大群を、あとで上手く活かすなど、伏線の回収も上手くて、ラストでも、感動的な演出で、ちゃんと泣かせてくれたりと、サービス精神満点の映画であることは間違いなかったです。

従いまして、私的な評価と致しましては、
前作の『新 感染 ファイナル・エクスプレス』が極限状態に陥った際の人間ドラマを描いたゾンビ映画だとしたら、今作の場合には、ゾンビ映画の本流からすれば、本質的な恐怖感や面白味にやや欠けるのかも知れないですが、娯楽色豊かなゾンビ・サバイバル映画という点では、総花的に観れば、凄く良く出来た映画だったかと思いましたので、五つ星評価的には、さすがに前作を越えるほどではなかったですが、★★★★の四つ星評価の高評価も相応しい娯楽アクション大作だったかと思いました次第です。

日本映画でこれほどの規模の娯楽アクション大作でもあるゾンビ・サバイバル映画を製作出来るほどの映画会社などは見当たらないでしょうし、やはり世界標準を目指した映画だけに面白さも格別でしたね。
でも、私的には、やはり人間ドラマに深みのある前作の『新 感染 ファイナル・エクスプレス』の方が好きかな。

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HALU