劇場公開日 2021年1月1日

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「挑戦的な続編説」新感染半島 ファイナル・ステージ ipxqiさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5挑戦的な続編説

2021年1月13日
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レビュー、評価を改めます。
いやこれ、実は前作への正統なアンサーであり、テーマまで含めてマッドマックス・フューリーロードへのオマージュなんじゃないかという気がしてきたので。
(↓前作のネタバレを含みます)

というのもあの母子、別人ではあるものの、前作のラスト2人(正確には3人か)に呼応してるんじゃないかって気がする。
前作では守られる側だった2人が今作では反撃する側にまわる。

そして主人公のキャラが弱いのは、フューリーロードのマックス同様、あくまでドラマの主体であるあの2人をサポートする立場だからなんじゃないか説。
そう考えると、単に表面的なビジュアルだけでなく、構造そのものがフューリーロードへと至るマッドマックスシリーズへのオマージュなんじゃないかと思えてくる。
前作の結末、全体的な構造に対する真摯なアンサーとして、監督が本気で考えた結果、こういう配置になったんじゃないか。
あれだけの傑作を作っておきながら、わかりやすい守る→守られる図式に忸怩たるものがあり、それを続編で昇華させたんではないか…?

その証拠に「弱く見える立場の人は一方的に守られるだけじゃない、逆に守る側を助けたいと願っているんだ」という主張は続編を観た人ならすんなり感じとれることだろう。
だからこの説もあながち強引とは言えないと思う。

ちなみに、菊地成孔は前作について「生き残る人数がリアル」と評価しており、そこは多くの人が頷ける部分だと思う。
まさにその「リアル」な結末に満足せず、そこを受けての本作がある、という流れ。

そうだとしたらやばい、ヨン・サンホ監督の今後が楽しみすぎる。。
まあそれでもエンタメとしてはいろいろ弱いよね問題は残るけど、単にスケールアップしただけではない、挑戦的な続編だったという評価に変わりました。

↓以前のレビュー
ソウルが舞台のマッドマックス、ニューヨーク1997風味〜J.A.ロメロの記憶を添えて〜

楽しかった!
シーンごとにたくさんのアイデアが詰まっていて、オチの予想はついても(そしてばっちり外しても)充分楽しめました。ユーモアとサービス精神が詰まった「楽しい」作品。

ひとつ気になったのは悪役のキャラが弱いこと。
例の人、どんだけ悪辣の限りを尽くすんだろうと待ち構えてたので、その期待から行くとちょっと物足りなかった。
あとオチもちょっと弱いかなー

主人公の懺悔のタイミングが早すぎたのかも。せっかくバディ感出すならそこにサスペンス仕込んでもよかったのでは。
主人公が主人公らしい行動を取れなかった理由は、保身ではなく訓練された人間としての性分なのかな?

でも、必死で苦闘する母を照らす光、あれだけでもう充分。泣きそうでした。そして、次々に出現する問題に即応するアクション、問答無用の映像的快感が味わえます。たとえるなら進撃の兵長。
前作では劇場に2回行きましたが、今作はあれをまた拝みに行きたいな、と思えるパートでした。

ふつうに映画撮ってたら現実とニアミスしちゃう時点でヨン・サンホ監督は持ってるんじゃないでしょうか(何らかの何かを)。

ipxqi