劇場公開日 2021年1月1日

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「邦題問題、大問題」新感染半島 ファイナル・ステージ まささんの映画レビュー(感想・評価)

4.0邦題問題、大問題

2021年1月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

【新感染半島 ファイナル・ステージ】
3部作として捉えると、かなりおもしろかったのですが、今回は敢えて少々辛口気味に。邦題問題、大問題問題の件です。

前作の「新感染ファイナルエクスプレス」が大傑作だったので期待して鑑賞したのですが、もう少し予習してから鑑賞すればよかったです。

いつの間にか邦題に引きずられていました。前作「新感染ファイナルエクスプレス」の原題は「To Busan」直訳すると「釜山行き」なので映画タイトルしてはかなり地味。そこで「新感染ファイナルエクスプレス」という「パンデミック」×「新幹線」を想起させる電車パニックムービーにピッタリの邦題になっていました。

当時、このダジャレみたいな「タイトル」だし、しかも「ゾンビ」なので、B級映画確定と思い、完全にスルーしていたのですが、町山智弘さんが超お勧めしていたので鑑賞したら、想像を超える大傑作だったため、「邦題の違和感」を胸の奥に閉じ込めていたのを、本作で改めて思い出しました。

前作のタイトルのおかげで、閉鎖空間におけるパニックムービーみたいな印象が強くなってしまったのですが、本作は、閉鎖空間ではありませんが、ゾンビになった「物体」をひたすらボーリングのピンのようになぎ倒し続ける、脱出系の「単なる」アクション映画に見えてしました。マッドマックスみたいな感じ。ちなみにアクションは凄いです。特に子どものカーアクションは最高でした。

実は、この3部作には「競争」「格差」「差別」「共助」などの社会テーマがあり、それをゾンビというメタファーを用いて表現しています。特に前作では「ゾンビ」になるということは不可逆なため、切り捨てる対象になってしまいます。

それが「親子」「夫婦」「恋人」「友人」などの親しい間柄であっても、一旦ゾンビになってしまうと、「切り捨てるのか?」「自分もゾンビになってしまうか?」という、かなり強烈な選択を迫られるため、そこに多くのドラマが生まれていました。本作をきっかけに大スターになった「マ・ドンソク(マブリー)」さんは、多くの人を守るために、自らゾンビになり、その自己犠牲の姿には涙が止まらなくなりました。ここでいうゾンビは「社会的弱者(落伍者)」のメタファーになります。

そして本作では、何とか生き残ったコミュニティであっても、「助け合い」「支え合う」ということにはならず、平時と全く同じように、支配、格差、差別という構造を自ら作り出しながら社会を構成しており、この根源については深く考えさせられます。

ちなみに3部作の原題を直訳すると①「ソウル駅」②「釜山行き」③「半島」となり結構地味なタイトルです。そして邦題は、①「ソウル・ステーション パンデミック」②「新感染ファイナルエクスプレス」③「新感染半島 ファイナル・ステージ」となり、映画の表現したいテーマ性とは少し離れ、アクションパニック映画という印象を色濃くしてしまっています。

邦題は本当に難しいです。最近は鑑賞前に必ずチェックして、監督が表現したいことを想像しながら鑑賞するようにしています。

でも、あまり深く考えすぎると娯楽性が薄れるので、ボーリングのピンのようになぎ倒される「元人間」を狩りが好きな方は楽しんでご覧ください。

まさ