劇場公開日 2021年9月3日

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「アルコールの血中濃度が0.05%が良いのだとしたら、人類の進化でそうなっていたはずのように思えて…」アナザーラウンド KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 アルコールの血中濃度が0.05%が良いのだとしたら、人類の進化でそうなっていたはずのように思えて…

2025年12月11日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

全く知らない作品だったが、
アカデミー賞の国際外国語映画賞受賞作
と知って初鑑賞。

私も若い頃は大酒飲みをして、
何度も吐いたり(すいません汚い話で)、
酔って明治通りの中央分離帯の緑地で寝たり
(車に轢かれなくて良かった😅)と、
随分と無茶をしたことを思い出す。

しかし、そんな私も、
すっかりと年齢を重ねてしまうと共に
酒の量も減り、
嗜む程度となってしまった現在は、
深酒をしては事件を起こしたり、
他人に迷惑を掛けては酒を言い訳にして、
己の責任から逃避するニュースに
眉を細めてしまうという身勝手さも。

この作品、確かに面白くは出来ている。
中年になっての焦燥感も良く理解出来る。
しかし、
話そのものに無理があるように思えた。
4人の血中濃度を上げての授業内容の良好化は
飲まなくても可能であるし、
後半の家庭を犠牲にしてまでの
更なる血中濃度の高める行為に至る展開は
意味不明だ。
そして、欠けた1人による
適度な飲酒への気付きと
妻との和解に繋がる唐突感に、
ビリー・ワイルダーの「失われた週末」
という深酒への優れた警鐘作品が
思い出された。

そもそもが、血中濃度において
0.05%のアルコールが良いのだとしたら、
人類の進化の中で血中濃度そのものが
0.05%に変わってきていたようにも
思えるのだが。
だから、そんな一時的な深酒は
スポーツ界のドーピング問題と変わらない。
飲む前にまずは努力だろう。
そんなことも無しに
“DRUK”に走るのは、一時しのぎ的な、
自らの否定に過ぎないのではないだろうか。

この映画には、人生は、興奮で高める
“アナザ'ー”としてではなく、
理性や努力で高める“リアル”と捉えるべき
ことを改めて認識させられた。

KENZO一級建築士事務所
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