「LIFE GOSE ON!」アナザーラウンド ものがたりのはざまのさんの映画レビュー(感想・評価)
LIFE GOSE ON!
うだつの上がらないおっさん4人の人間讃歌ムービー
仕事も家庭もうまくいかない教師のおっさん4人組は
アルコールの力を借りて、人生の軌道修正をはかる。
アルコールのおかげで、はじめは授業も家庭も良い感じの軌道に乗ってうまくゆくんだけど、当然ながらアルコール摂取量はどんどん増えてゆく。
それに比例して、順調になったかに見えた4人の生活に、4人それぞれの形で亀裂が生じる。マッツの場合は、離婚?別居?に……(妻が子供を連れて出て行く)
それでもマッツ含む3人が転落する手前でなんとか踏みとどまれた一方で、トミー1人は破滅へと進んでゆく。
アル中になり全てを失ったトミーは自殺してしまう。
(直接的な描写はないけれど、酔っ払って職員会議に参加したから解雇もんだし、老犬と船に乗って海原に出た後、老犬だけが船に残された描写から、トミーは飛び込み自殺をしたと推察できる)
試験合格に喜ぶ学生と、トミーの訃報を聞いたおじさん3人との心理描写の対比がとてつもなく切ない。
トミーの葬儀の後、感傷に浸りながらレストランで食事をとる3人。マッツのもとに、元妻からのメッセージが届く。そこには希望を予感させるものがある。
ふと窓から、卒業祝いのパレードが通るのが見える。
「おい、あれはうちの高校生だぞ!」
港で卒業生達と落ち合うおじさん3人。
卒業生達の若さと青春が眩しい。
少し躊躇しつつも、卒業生達と祝いのシャンパンをあおるマッツ(ここがフライヤーの場面)
そして、軽妙な音楽の中、アルコールに浸って、
ただマッツは踊り狂う。
そこに言葉はいらない。
なにはともあれ、おじさんの人生は続くのだから。
アルコールをテーマにしつつも、
生きることや人生について物語る映画でした。
あえて希望のあるエンディングにした、監督のエピソード(この映画を作るきっかけを与えてくれたお嬢さんが、製作中に亡くなる。娘のために、暗いエンディングにしたくなかった)とか、メガネ坊(自殺したトミーの教え子)の仕草とか、おじさん4人が酔っ払って楽しそうにわちゃわちゃするシーンとか、いちいち心鷲掴みにしてくる。
めちゃくちゃ笑ってめちゃくちゃ泣いた。