「ジョナスを思い出した」Summer of 85 トマトマ子さんの映画レビュー(感想・評価)
ジョナスを思い出した
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こんなにハンサムで自信満々で向こう見ずな年上のお兄さんに誘われたら、そりゃひと夏の恋も盛り上がるわ。しかも関係が中途半端なところで終わり、そのまま死なれてしまったから、残された方はやるせない空しい気持ちでいっぱいになる。未練タラタラどころではない。
この主人公のえらいところは、墓の上でダンス という誓いを実行することで理想の恋人ダヴィドとの恋に自分なりのピリオドを打ち、ダヴィドのいない人生と向き合う決意をしたこと。そのために何度も吐いたり眠れない夜を過ごしたりと辛い思いもしたが、自暴自棄のあまりにケイトや先生など周りの人間たちとの関係性を投げ出したりもせずに、最後までひたむきであり続けた。
そのためエンディングも前向きで明るく、爽やかな余韻まである。
また主人公は、思春期にありがちな死への憧れを持ってきたが、きっとそれももうなくなったと思う。父親の死を経験したダヴィドが、主人公に諭したように。
ちなみに…
ジョナスというフランス映画があって、同じようにハンサムで自信満々で向こう見ずな年上のお兄さんとの短い恋の挙句に死なれてしまう話なのだけど、こちらの主人公は10年以上経っても彼を忘れられず、大人になってからも存在しないはずの理想の恋人を求めて苦しみ続ける。その様子が本当に苦しくて空しくて、あまりの喪失感と絶望感の大きさに圧倒される。
どちらが良い悪いではないけれど、本作品の鑑賞中どうしてもジョナスと対比せずにいられなかったのです。
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