「熱くて淡い6週間の夏」Summer of 85 J24さんの映画レビュー(感想・評価)
熱くて淡い6週間の夏
横浜アバック座にて試写会鑑賞。
予告で描かれてる通り18歳の主人公アレックスとダヴィドの85年のひと夏の恋愛を描いたLGBT作品である。
LGBT作品といえど偶々男と男が恋に落ちただけでありLGBT特有のなにかを強く描いてるわけではない。これが男と女、女と女でもこの作品においては置き換えて見る事ができるためとても自然に鑑賞するとができる。
アレックスは高校卒業後の進路で非常に心に迷いがある。両親とも距離を置き思春期特有の苦しみを感じ取れる。
一方ダヴィドは高校を中退し早くに亡くした父の仕事を引き継ぎ母と生計を立てる。一見明るく元気に見えるが友達もおらずダヴィドもまた心に大きな傷を負っている事が垣間見られる。
そんな2人が出会いアレックスは当初は親友として接していくつもりだったがダヴィドのアプローチにより彼が喜ぶのであればと恋愛関係に発展していく。
中盤までは彼と幸せな時間を過ごすが後半はダヴィドが女性と関係を持ちアレックスに対して遊びだと酷い言葉を浴びせる。
怒ったアレックスをダヴィドは追いかける際にバイク事故に遭いそのまま命を落としてしまう。
アレックスとダヴィドのとても熱く濃厚な、そしてとても切ないひと夏の6週間の恋愛作品であり恋愛作品としてはそれなりに楽しむ事はできる。ただ冒頭からアレックスが警察に捕まってるシーンからはじまり、死に強い興味があるなどダヴィドの死を冒頭から告白シーンが描かれている。
そこで何か大きな展開を期待してしまうと少し肩透かしを食う可能性はある。
捕まった理由も生前のダヴィドと約束した死んだ場合は墓で踊ってほしいという事をアレックスは実行してまでだったり、ダヴィドの死を彼の母がアレックスを必要以上に責めるシーンだったりこの辺があまり感情を動かされる事が個人的にはできなかったかな。
恋愛においては自然で見やすさはあるが彼らの関係がLGBTという事を除けば特段新鮮味のある展開ではないため良くも悪くも特別な目で彼らの恋愛を見なければ面白味には少し欠けるかなというのが率直な感想であった。