「後半の展開はもはや深田監督のオリジナル作品」本気のしるし 劇場版 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
後半の展開はもはや深田監督のオリジナル作品
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TVシリーズ版の放送時は、自動録画設定がいつの間にか解除されていて全話を観ることが叶わなかったのだが、ほぼ同じ尺の再編集された劇場版で、その全貌をようやく観ることができた。あまりにも面白く、4時間の長丁場もアッという間に過ぎてしまい、原作マンガも買ってしまった。
原作との比較でいうと、終盤に近づくまでは、今回の映像化はかなり原作に忠実に進む。ところが主人公が浮世に逆転した辺りから、もはや深田監督のオリジナル作品と言っていいほど、独自の展開が進んでいく。
印象としては、原作では男女が性で結びつくことに重きが置かれているが、劇場版ではむしろ、性の結びつきよりも、一個の人間として自立していくことで、相手を求める気持ちを純化させていく。セックスに心の結びつきを重ね合わせないのはなんとも深田監督らしい気がする。
そしてある意味で乱暴とも言える大団円が果たしてハッピーエンドなのか、次なる波乱の幕開けなのか、ふたりの関係が始まったの同じように踏切の警告音が響く中で終わる。深田監督史上最もロマンチックであり、そのロマンチックさに騙されてはいけないと丁寧に忠告されているような、引き裂かれた後味も深田監督らしい気がする。
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