「ケールの大きさとアクションの派手さにビックリさせられました。」キングダム2 遥かなる大地へ 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)
ケールの大きさとアクションの派手さにビックリさせられました。
大ヒットし、高い評価も得たアクション映画の続編。撮影はコロナ下の2020~21年、日本各地や中国で、リモートも駆使して行われたそうです。エキストラの数も馬の数も、日本映画としてはスケールが桁外れの大作です。
当初は、全編から中国の戦記物を日本の俳優が演じることに違和感を感じてしまい、見る気がなかったのですが、時間の都合でたまたま見たら、スケールの大きさとアクションの派手さにビックリさせられました。
舞台は紀元前の中国、春秋戦国時代。戦災孤児の信(山崎賢人)は、秦の国王・高政=嬴政、後の始皇帝 (吉沢亮)と出会い、天下の大将軍になる夢に向かって歩み出していました。
前作の王都奪還から半年後、秦王・嬴政は刺客に襲われます。信により刺客は撃退されますが、そこへ魏火龍七師・呉慶(小澤征悦)率いる隣国・魏の大軍が秦へと進攻。それを受け大将軍・麃公(豊川悦司)率いる秦軍が出陣します。信もそれに従軍し、謎の剣士・莞痍(清野菜名)・尾平(岡山天音)・尾到(三浦貴大)・澤圭(濱津隆之)らとともに伍を組み戦地・蛇甘平原へと進軍するのでした。
しかし戦場の丘を魏軍に占領されたことで秦軍は劣勢となる中で、魏の装甲戦車隊の突撃を受け秦軍の歩兵部隊は壊滅状態に。信たち第4軍も突撃していて、孤軍奮闘します。 そして夜になると魏軍により残党狩りが行われ、信と羌瘣は仲間を護るべく殿として奮闘します。
翌朝、信と羌瘣は仲間と合流し、魏軍副将・宮元(高橋努)のいる丘へ突撃します。これを知った麃公は、初めて第4軍の元へ騎馬隊を派遣、千人将・縛虎申(渋川清彦)は信たちを率いて丘へ突撃します。そして縛虎申は丘を登りきり、宮元と刺違えます。そこへ突如六大将軍・王騎(大沢たかお)が現れ、信は王騎に将軍とは何かを教わるのでした。
そんな中、呉慶本陣に向け麃公自ら突撃します。闘いは呉慶と麃公の一騎打ちへ。はたしてどちらに軍配は上がったのでしょうか…。
暗殺団や追っ手との戦いを始め、前作の特徴の一つだった、ワイヤを使った華麗な殺陣も健在。清野のアクションが素晴らしいのは言うまでもありませんが、どこか線が細かった山崎は、このシリーズで一回り大きくなったと思います。
大軍同士の戦い。両国の将軍の個性の違いが際立ち、軍記物としては大変面白かったです。秦の麃公は歩兵の前衛部隊が全滅しても、全く動じず動きませんでした。その点魏の呉慶は戦略家で、将棋の駒を進めるように的確に軍勢を繰り出していきます。それに比べて麃公は、いざ決断すると猪突猛進が身上の人。どんな犠牲を払っても、これまで勝利してきたのです。丘の上ではそんな麃公を王騎が興味津々に見つめます。
この両雄が激突するシーンが、一番見どころでした。
2時間かけて描いてきた戦の勝敗は、おい呉慶!それまでのおまえの冷静な用兵は何だったの?と驚く方法で決まるのでした。
そんな大軍同志の闘いの中で、普通は歩兵の働きなんてしれたものとなるものです。しかし本作では、そんな歩兵が、戦いの帰趨を逆転させるほどの活躍を見せるのです。
兵を捨て駒にしないために、決死の覚悟で部隊を率いる者。仲間を守るために、危険な役目を買って出る者。クールになりきれない男女が、血と汗と涙を流すのです。そんなところが日本人の琴線に触れるのでしょうか。もちろん一騎当千の、信の大暴れも痛快です すべてががむしゃらで熱かった作品でした。