「コロナ禍の最中に団塊世代が終活について考える映画であると思いました いや良く考えてみると本作は全ての年代の方にそれについて考えてほしいという映画であったのです」いのちの停車場 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
コロナ禍の最中に団塊世代が終活について考える映画であると思いました いや良く考えてみると本作は全ての年代の方にそれについて考えてほしいという映画であったのです
停車場とは、劇中になんどもに登場する路線バスの停留所のようです
この停留所は残念ながら金沢ではないところで撮影されたようです
吉永小百合77歳
田中泯77歳
西田敏行74歳
泉谷しげる73歳
みなみらんぼう77歳
皆さん失礼ながら終活の年齢です
コロナ禍の最中に団塊世代が終活について考える映画であると思いました
いや良く考えてみると本作は全ての年代の方にそれについて考えてほしいという映画であったのです
柳葉敏郎は少し若くて61歳
それでも終活をそろそろ意識を始める年齢です
石田ゆり子は52歳
終活なんてまだまだですが、周囲で突然倒れる人が出始める年齢です
自分ももしかしたらもしかするかもと考える年代なのです
小池栄子41歳、伊勢谷友介45歳
なんで自分が・・・と思い、足掻く気持ちが止まらないでしょう
松坂桃李は33歳
広瀬すずは23歳
この二人は人のいのちの灯が如何にはかないものか数多く目撃します
萌ちゃん役の佐々木みゆは10歳
この娘の未来は始まる前に終わってしまうのです
このようにすべての年代に対して、いのちの終わりについて考えるきっかけになるように、配役されて撮られていたのだと改めて思い至りました
誰もが停車場で降りる時がきます
ずっとバスに乗っていることは出来ないのです
次停まります
でも自分でボタンはおせません
ここで降りるんだと運命が決めるだけなのです
自分にも降りる停車場があるはずです
もしかして次の停車場かもしれないし、ずっと先の停車場かも知れません
その間、どう生きるのか?
ウトウトと居眠り?
車外の風景を見る?
手元の本をよみふける?
仕事のことをあれこれ考える?
きっともう着いたのかと突然のことなのでしょう
もしかしたら、もう早く降りたいのに降りられずにいることになるのかも知れません
そうならないことを切に願うばかりです
蛇足
金沢とは昔から縁があって、何度も訪問しています
本作で撮影されたように絵になる美しい光景ばかりの街です
京都より日本情緒を味わえる街だと思います
犀川沿いのW坂と桜坂
浅野川沿いの、梅の橋、浅野川大橋、主計町茶屋街、暗がり坂
劇中で白石咲和子が父と治部煮を食したのは、浅野川にかかる梅の橋のたもとの「八郎すし」だそうです
和風ポタージュというような、治部煮をまた食べてみたくなりました
大昔に、主計町のあるお茶屋さんに昼時にはいって、加賀のお殿様の野点のお弁当を模したという引き出し式の三段の重箱に入った美しい加賀料理の数々に、この治部煮がついているものを頂いたことを思い出しました
甘い醤油味の汁で煮こまれた具材にわさびの辛さがアクセントになって、とろみに包まれたやわらかな鴨肉や野菜が楽しめる料理です
昔は遠くて飛行機で行く北国だったのに、北陸新幹線が出来て腰が抜けるほど早く金沢に着くのです
コロナ禍はまだ収まってはいないようですが、そろそろまた訪問したい街です
今晩は。
私は、金沢にはやや思い入れがありまして。あ、申し訳ありませんが、一番強いのは、京都です。(ここから個人情報駄々洩れ・・。)まずは全然勉強しなかった高校時代、”楽勝だろう!”と思っていた金沢大学に落ちました。で、一年留年し、念願の大学に入学しました。
で、数十年後、息子が金沢大学に一発合格。家人と共に、金沢の様々な美しき場所、犀川沿いの料亭で酒を呑みました。美味かったですね。あと、吉田健一の「金沢」が好きだった事も、一因かと思います。
で、今作。私は終活をするにはまだ早い年代ですが、後20年経ったら金沢を始めとした美しき日本の情緒を残す町に足を運ぶことを夢見て、日々働いています。では。