「ただのヤクザ映画ではなかった」ヤクザと家族 The Family ニョロさんの映画レビュー(感想・評価)
ただのヤクザ映画ではなかった
この映画は、ヤクザというものが時代の中でどう変わってきたかを、ひとりのヤクザの目を通して見事に表現されている。この男は、ヤクザになるしかないような生い立ちでヤクザになることで家族をえたのだ。あったかくて仲間や家族思いの真っ直ぐな男は、時代とともに生きづらくなっていった。周りが変わっても自分は変わらないからこそ、浮き彫りになる様々な現実。どんなに戻ろうとしても簡単には戻れない大きな壁があった。ヤクザの話なのになんだか可哀想になってしまった。家族のために刑務所に入り、人を殺し、刺されても穏やかに相手を抱きしめるのだ。
そして最後のシーンが一番好きだ。
彼の生きた証はたしかにあった。彼の思いもちゃんと繋が
っていた。磯村勇斗がいい表情だった。
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