劇場公開日 2021年1月29日

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「すごい……(末尾に、最近の心境もあり)」ヤクザと家族 The Family CBさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5すごい……(末尾に、最近の心境もあり)

2021年3月29日
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鑑賞方法:映画館

ひとりの男の人生を追うことで、現在のヤクザとその家族を取り囲む過酷な状況を伝える映画。

すごいなあ、こんな黄昏れたやくざ映画って、撮れるんだ・・・
1999年から始まり、2005年(6年後)を経由して、2019年(14年後)で幕となる。
それぞれ、① ヤクザになるきっかけ、② 刑務所に入ることになる原因、③ 刑務所を出てからの生活。
前半は、各シーンを黒っぽくそして青っぽく撮っている。これが、前半のバイオレンスでソリッドなストーリーにぴったりあてはまる。
一転、後半は、各シーンをくすんだ白熱灯のような色で撮っている。この対比は、もう見事としか言えない。

ヤクザを囲む過酷な状況が悪いとか可哀想とか思うことは、俺にも、ない。彼らは反社会的勢力なのだから。
そして作中でも言われるように、「世の中全部が、ヤクザを排除するようになっている」 のだから。
ただ、"ちょうどその時期にあたったひとりのヤクザ" の人間としての悲劇は知っておくべきだし、さらに、ヤクザの家族に対して俺たちはどう対応するべきなのか、いろいろなことを考えさせられる映画だ。ここは、詳しく書くよりも観てほしい・・かな。

ラストシーンは俺にめちゃくちゃ響いたなあ。この話に、こういう終わらせ方があったのか!? 凄い!!!

おまけ
綾野さん、小野さん、上手い。まあ、ふたりが上手いのは今さら言うまでもないことだが、特に小野さんは、こういう役に絶対的な強さをもっている気がする。はまり役というか。
そして舘さんの前半後半の変化は、みんな是非観た方がいいですよ。これも見事と思う。前半と後半で2本の映画だと思えば、136分という時間も短いとわかります。

へええ。藤井監督って、「新聞記者」で「宇宙でいちばんあかるい屋根」で、そして本作なんだね。この幅広さって、すごいね。おお、隠れた名作「青の帰り道」も藤井監督なのか。今泉監督のように "俺とウマがあう" わけじゃないけれど、注目してるべき監督であることは、間違いないなあ。

2021/4/1 追記
ある解説で読みました。抜粋して引用しておきます。
『あゝ、荒野』、『宮本から君へ』、『MOTHER マザー』。いま日本で最もアブないテーマに果敢に取り込む制作会社スターサンズ。
… たしかに。どれも、諸手を挙げて好評されることはない、クセの強い映画ばかりだ。今後も注目しておこっと。

2021/6/6 追記
友人の感想が、けっこう心に響いたので、書き記しておく。と共に、評価点を3.5に下げた。
---- ここから、友人の感想 ----
タイトルになっている家族への愛。組長への愛、妻娘への愛、いずれも描写が薄くない? 優しくされたから、組長を親父と慕ったのだろうが、あまりにもあっさりした描写だけ。それはまだ許すとしても、後半。主人公は、言われたからといえ、大した葛藤の描写もないままに、組を辞める。妻娘が主人公に寄せる心も、観ているこちらが少しでも納得するような描写がない。特に娘の心は、謎。娘からみたら、"ただ災厄を運んで来た男" でしかないのに、ここも葛藤する娘という描写もないまま、「実の父親だから」という理由だけで、海に花束持って来たのか? どうしてそうなった? と疑問符が付くことばかり。主人公を、よい方に描き過ぎてるんだと思う。妻娘のエピソードは、ない方がまだましだったろう。
密漁する幹部二人も、既に、若頭が覚醒剤やってるんだから、そんなことする必要ない。
なんというか、説明不足のエピソードが、あちらこちらにとっちらかってる感じ。
---- ここまで、友人の感想 ----

上記の感想は、いずれも言われてみると、その通りだと感じる。ヤクザという許されない存在を、ひとりの人間と見ることが、この映画の主眼だろうが、そこに生じる矛盾は解決できないので、上で言われているように、"後半は、エピソードの羅列だけに終始し、少しでも納得感を呼び起こすような工夫は、行われていない" ってことなのだろうな。
観ていた勢いで、最初のレビューを書いたわけだが、今は、ちょっと、反省してます。それほど、出来がよいわけでは、なかったのかも知れない。

CB
CBさんのコメント
2023年2月5日

あれ、琥珀糖さんのレビュー、コメント不可になってますね

CB
talismanさんのコメント
2021年8月1日

追記でお書きになった内容、確かにそうかも知れない。ポイント高く私も評価しましたがまた見ようとまだ思えないのはそこらへんにあるのかも知れません。

talisman
もりのいぶきさんのコメント
2021年4月30日

CBさん、お邪魔します。

光の色合いの違い、全く気付いていませんでした。
(話の展開が気になって、それどころでは無かった気が…)

Net配信で見られるようになったら
そういう点も気にしながら観なければ、ですね。

もりのいぶき
NOBUさんのコメント
2021年4月21日

今晩は
 コメント頂き、有難うございます。素直に嬉しいです。
 ”『あゝ、荒野』、『宮本から君へ』、『MOTHER マザー』。いま日本で最もアブないテーマに果敢に取り込む制作会社スターサンズ。”
 『あゝ、荒野』は観ていないのですが”N・・”で鑑賞予定です・・。
 『MOTHER マザー』が、脚光を浴びたのは、重いテーマに果敢に取り組んだ作品であったので、嬉しかったです。
 個人的にはエレカシのファンなので、『宮本から君へ』ももっと、脚光を浴びて欲しかったかなあと思うNOBUです。
 では、又。返信不要です。

NOBU
2021年4月19日

こちらも観ましたが、色味に意味があったのですね。綾野剛の役柄によって変化する色味が感じられて、面白かったです。

美紅
talismanさんのコメント
2021年3月31日

色のこと、全然わからず見てました。次回見るときは意識することにします!

talisman