「尾野真千子は男前😍」ヤクザと家族 The Family カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)
尾野真千子は男前😍
この映画は日本ヤクザ(反社会的勢力)の衰退がひとりのヤクザの人間ドラマとして描かれる。義理人情を重んじる古典的なヤクザの家族的側面をラブストーリーを絡めて投げつけてきた。
暴対法が拍車をかけたことは事実。一方、犯罪の多様化、巧妙化や日本ヤクザに変わる外国人犯罪組織の台頭を後押ししてしまった。暴対法の警察権限は日本ヤクザだけに適用されるものだからだ(片手落ち)。藤井監督らしいバランス感覚のある正義感は、初めて「デイ・アンド・ナイト」をみた時の感じに通じるものがあった。
キャスティングのバランスもとてもよかった。尾野真千子に期待して観賞したのだか、期待どおり、いや、それ以上だった。柴咲組長(舘ひろし)と山本(綾野剛)の関係はラブラブ。おっさんずラブ? 舘ひろしはカッコよすぎで、コメディタッチになってしまうので、暗い内容を薄めてくれる。細野(市原隼人)、大原(二ノ宮隆太郎)も一緒に引き取る包容力(太っ腹)。若頭(北村有起哉)の切ない、悔しい気持ちもよく伝わってきた。寺島しのぶはひとり年を取らないw 尾野真千子もあまり変わらない。女優さんのメイクにまでは口を出さない? いや、まだ出せないのかな。若いから。
演技力のある魅力的なキャストたちで、セリフが緻密に回収される構成。真面目な脚本。ロマンチストで、誠実な監督の人柄を感じる。悪く言えばちょっと青臭いのだが、若い人も年配の人も魅了し、納得させる内容。
社会変化の早い潮流についていくのはカタギもヤクザも警察も大変な時代。政治による手当てが後手後手になると弱いものから淘汰されてしまう。国や地域の中で食物連鎖が進むだけ。不条理だ。
柴咲組が4人だけになった時のシノギが「うなぎの養魚の密漁」とは、泣かせてくれるw
運転中の大原が射殺されたのは組長を釣りに誘って出かける場面。
山本ら3人が拉致されるのも漁船。
綾野剛と尾野真千子がお互いの境遇を話す場面も駿河湾の夜の浜辺。
最後のシーンも尾野真千子の娘役が花を持って堤防を訪れる。
尾野真千子は大の釣り好き。BSの釣りびと万歳にも出ていて、1メートル、8.5キロのヒラマサを70分間のやり取りの末にあげている。男前だ。
尾野真千子、女子大生にはきつかったというコメントが目立つが、アタシは、ホステスをしながら、勉強する極道の女なんだから、チャラチャラした女子大生とは違うわけで、違和感はありませんでした。ベッドサイドでの「それも込みだろ」「今、やろうとしたでしょ。」「やらねーよ❗」の場面も好きだなぁ。女の度胸満点。この映画でますます女をあげたと思う。助演女優賞あげます。