「「哀愁しんでれら」というより「あいつら死んでれら」(不謹慎でスミマセン!)。これぞジャパニーズ・ホラー(楳図かずお級)!怨念とか悪霊とかより本当に恐ろしいものは何なのか良くわかってらっしゃる。」哀愁しんでれら もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
「哀愁しんでれら」というより「あいつら死んでれら」(不謹慎でスミマセン!)。これぞジャパニーズ・ホラー(楳図かずお級)!怨念とか悪霊とかより本当に恐ろしいものは何なのか良くわかってらっしゃる。
①大変面白かった。演出も快調。②「不幸」とか「異常」とか「非常識」とか言うと具体的なイメージが浮かぶのに、「幸せ」とか「普通」とか「常識」とか言うと途端に抽象的になる。人間はどうしてそんな曖昧なものを求めたり拘ったり固執したり執着したりするのだろう。その危うさと怖さをよく捉えていると思う。③最初の心の優しそうな児童養護施設の職員から狂女へと変貌していくヒロインを自然に演じて土屋太鳳は若手演技派の面目躍如。④伏線とその回収も上手く行っている。⑤子供を授かったからといって親になるものではない、子供を育て上げて親になる。子供は親の所有物でもないし宝物などでもない。大人だけでなく子供にだって心の闇はある。⑥前半にヒロインに襲いかかる不幸の連続は実は“不幸”などではない。世によくあることが重なっただけ。後半の当人たち(ヒカリも含め)にとっての「幸せ」(と思っているもの)への欲望・執着、「(母)親」への過度な期待・歪んだ理解等が糺されないまま捩れて連鎖して行ったのが“不幸”だったのであるが、ラストの彼らは自分達が“幸せ”になるためにやらねばならなかったことを成し遂げたから“幸せ”なのだ。⑦普通シンデレラは城に入るまでしか語られない。シンデレラは城に入ったそのあとも(EVERAFTER)幸せに暮らしましたとさ。メデタシ、メデタシ…本当にそうだろうか。本当の“幸せ“の意味が解るのは、その“幸せ”を掴むために努力するのはその後なのに。大概の王妃は悪い王妃です。突き詰めれば“幸せ”と“恐怖”とは紙一重なのだと言うことでしょう。⑦『皆さん、人生は、“幸せになる”“幸せにしてあげたい”などというよくわからんものを目的とすると怖いですよ』、という寓話だと思えば良い。⑧映画が終わって拍手したら近くに座っていた女性が明らかにひいたし、もぎりのお姉ちゃんに「とても面白かった」と言ってひかれてしまった。