アングスト 不安のレビュー・感想・評価
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ミニチュアダックスフンドの魅力
めちゃくちゃ気味悪いポスターに惹かれ、そして予告の「犬は無事です」バージョンを見て安心して(?)観に行きました。
シリアルキラー主観で展開される全くのいきあたりばったりに見られる犯行と「完璧な計画」「俺はついてる」「興奮する」とめちゃくちゃポジティブな思考のミスマッチさがまさに観ていてアングスト(不安)です。
検証映像の調書と本人の認識のズレも薄気味悪さがありますが。
とにかく犬がとてもかわいい。
ミニチュアダックスフンドにさほど興味ありませんでしたがこの映画を観てとても好きになりました。
ワングスト、おすすめです。
「37年前」では早過ぎたが、「37年後」は遅過ぎた……
話題になっていたのでいくつかのサイトで下調べをした上で鑑賞。
総じて「あまりハードルを上げないほうがいい」という評価が目に留まりやすかったのでそのつもりで見ました。
本当にその通りでした……
一言で言うと、「"シリアルキラー""サイコパス"という言葉が知られた現代(の日本)だから公開できたが、それゆえに驚きがなかった」です。
まずこの映画の特徴の一つである主人公ヴェルナーの異常性。
確かに「理解できない行動をとる恐ろしい人間」ではあるのですが、彼が劇中ほとんど喋らない代わりにナレーションとモノローグで彼の異常性と心情……つまり「行動原理」を説明してしまいます。
しかも彼が行動を起こしたり次の場面に切り替わる前に全て説明し切ってしまう事も多く、彼の「異常性」「理解不能な行動」の持つ躍動感や緊迫感を著しく削いでいます。
(しかも長々と説明されるので、字幕で見ている事もあって余計に映像に集中できない)
どちらかというとヴェルナーの「間抜けさ」「詰めの甘さ」が目立って見えるのですが、繰り返し「彼の綿密な計画は…」とか「今回は綿密に計画を立てて…」と説明してくるので非常にこの映画自体が滑稽に見えてしまいます。
そしてもう一つの特徴である「カメラワーク」。
コレにはいいところもありましたが、「良くないなぁ…」と思える所も少しありました。
基本的には「ヴェルナーの心情と言動、視点」を映し出すように撮影されていて、彼の興奮や不安を表現しているように感じました。
また、彼の性癖や異常性を際立たせるようなアングルも多く、物語にプラスに働いていた要素でしょう。
また、その他にも彼に狙われた人物が襲われるシーンなどでは、「被害者の主観視点⇄加害者の主観視点」の切り替えや、追いかけている・追われている時の顔のドアップなどは極限状態の心情が伝わって良かったです。
(本作の製作時点ではいざ知らず、40年近く経った今ではそのカメラワークがブラッシュアップされた作品がいくつもある、というのは度外視しています)
ただ、「生々しさ」を伝える為か、あまり劇中内の時間が飛ばず、ヴェルナーが丸一日に体験した事の殆どを目の当たりにします。
彼の、そして物語のテンションがピークに達し、そこだけ一気に時間が飛んで、極端にトーンダウンした後の「事後処理」は前述のモノローグで全て説明する上に同じ事の繰り返しが多いので、特に遺体を運び出すシーンはとにかく退屈でした。
ここは「省略してもいいんじゃないか?」と考えてしまう要素がいくつかあって残念でした。
また演出や演技もチープな部分が目立ってしまいました。
主演のアーウィン・レダーさんはそこに「殺人鬼がいる」と思わせてくれる程際立っており、彼の間抜けにも思える凡ミスも「突然始まった」が故の高揚感と焦燥感の入り混じった心情描写に思えて鬼気迫るものがありました。
しかしその他の役者さん達の演技は日本のバラエティの再現VTRよりも酷いんじゃないかというほど表情の変わらない演技、そしてそれを写す顔のドアップ。
特に襲われた一家の人達の演技は「こ、殺される…!」という部分の直前まで無表情だったり棒立ちだったりと気の抜けたシーンになってる事が多かったです。
40年近くも前に撮られた映画にアレコレ言うのも野暮だとは思いますが、映画としての完成度は置いといて、せめてもう15年日本での公開が早ければ、文字通り「衝撃の話題作」になれたかもしれません。
現在の「多様性」という言葉と、そこに潜む危険性が認知された今では、「シリアルキラー」としても弱く、また「カメラワーク」も斬新ではなくなっているというのが、非常に惜しい作品なんじゃないでしょうか?
(まあ、世の中がこの映画より前に進んでいることを実感できた、という意味では個人的に見て良かった作品だとは思いました)
○○の快楽と習慣性
作品の持つドライブ感が強烈。
文字通り、熱に浮かされたように殺戮に突き進む男とその顛末に唖然呆然。
緊張と緩和のバランスも絶妙で不謹慎極まる殺人コメディ。
「ジョーカー」も殺人者になるまでの憂鬱を描いて素晴らしく狂った映画でしたが、こちらのK君は完全にどうかしています。またその様子をシンプル且つストレートに観客に接続してくるのでタチが悪いです。
「ハウスジャックビルト」の水の滴る音はラースフォントリアーの良心だと感じる。
*観賞後の高揚感に注意「俺はついてるぜ!!」
評判通り個性爆発のカメラワーク。40年前と思えぬ俯瞰の使い方と、ど...
評判通り個性爆発のカメラワーク。40年前と思えぬ俯瞰の使い方と、どうやってるかわからない浮遊カット。恐らく役者にカメラを固定してるんだろうけど大したもの。
過激な内容な為、上映中止でなく不評のため打ち切りでは?
ひたすらに冗長、冗長、冗長。
死体を運ぶシーンや、町や家を徘徊する場面がやたら多く、そのシーンに伏線や緊張感を高める効果もなくひたすら退屈。
無駄なシーンを徹底的に編集し、60分の短編映画にすれば、そこそこの作品になったと思う。とはいえ、過激で危険な作品を期待すると大きな肩透かしを喰らう。この映画はスプラッターにも、サイコスリラーにもなっていません。
良かった点は、クラウス・シュルツェの音楽、犬と若い女優が美しいことくらい。
90分の映画が、体感三時間に感じた希有な作品でした。
商業映画における、編集の重要性を教えてくれた本作に感謝!
上映禁止になったのも納得
内容はあえて触れないとして、音楽の入り方めちゃくちゃかっこいいし、カメラの目線とか揺れ方とか上手くて感情移入してしまうというか…自分では?って錯覚してしまいそうになるのが恐ろしい…
なんか、不器用
斬新にも感じる演出描写、カメラワーク含め当時は下手くそって思われていそうな、本作一本で消えた監督。
冷静に語る主人公のナルシシズム的な完璧主義者と思いきや、行動の鈍臭さがイライラさせられながらの可笑しみが薄らと、全くもって計画通りに進まない展開に、そりゃ何度も捕まるワァ!と説得力が??
強引にも自分の理想通りと言わんばかりな負け惜しみとしか思えない衝撃的なラスト、いや失敗してるジャン!とツッ込まずにはいられない展開にマヌケさが。
ギャル二人と爺さん、ウェイトレスの婆さん、主人公よりも不気味に感じる不穏感、カメラの動きが奇妙で興味津々、侵入してからの家族三人がまた変態的でもあり、初めて観るような場面の嫌ぁな新鮮味。
とにかく主人公の行動全てに、観ているコッチが不安を感じてしまう感覚。
カメラワークに心酔。異常者の思考を追体験。
都内で唯一公開されている場所は一か所のみ。
そのせいか平日でもほとんど満席で、初めの回を確保することができず、その次の回を予約し鑑賞しました。
そこがまずは意外な部分でもあったが、本編が上映され、本作の主人公を中心に画面が歩くリズムに合わせて振動しながら本人を追う。
その時点で撮影技法に一気に心を奪われてしまった。
その後、話は進み、釈放されてからの一件が起きる。
それまでにも鑑賞してる者に先を読ませず、常に彼から離れずに突発な心情と行動を捉えるカメラワークに心酔。それのせいもあってか、犯人の心理にいちいち同情してしまう瞬間がある。非常に目の離せない作品でした。
ちなみに邦題の"不安"
どう捉えるかは、人それぞれだ。ただ、"不安クフルト"というホットスナックを販売しているシネマートのネーミングセンスに乾杯。それを横目にジンジャエールの大きい方をつい購入してしまいました。
ある種、映画好きのための映画であり、空間であり、
作品を通して非常に上質なあり得ない体験ができたことを私は誇りに思う。
内容はともかく…
カメラワークが絶妙。ドローンの無かった時代にこれだけの映像が撮れたのには脱帽する。屋根の上から建物の二階辺りまで垂直方向に下降したり、建物の上から下を俯瞰する画像、エロチックでありながらその近さに不安すら感じる口元や目のドアップ。人物に付き纏う長回しの撮影。圧巻である。クレーンやイントレなどを使っての撮影なのだろうが、その撮影風景がとても氣になる。内容は今の時代ともなれば、陳腐なゴアシーンに苦笑いを伴うが、時代を考えると致し方ない。それでも、主役の狂気の演技には引き込まれてしまう。作品としては、前評判ほどのエグ味は感じられなかった。40年近く経って、衝撃的なはずの映像には慣れてしまったのだろう。エスカレートする狂気は、ある程度は社会環境によって許容されるのではないだろうか?もちろん、映像作品の中での話だが…
面白いか面白くないかと言えば
面白くはない。
ただ、なんとも言えず引き込まれる魅力。
妙にザラつく音楽がこちらまで焦燥や焦りを感じさせて心細いような感情になる。
カメラワークが独特で一体どうやって撮ってるの?って思うし食事シーンはとにかく近すぎる笑
ストーリーはシンプルだが、こいつは本当に頭おかしいやつなんだなあと役者がうまいね、だまってればまともそうなイケメンなのに。
パッと見は、冷静な殺人鬼に見えるけど実際は頭のおかしい性癖を持ってるのですぐ捕まるだろうとは思っていたが。
ただラスト犬に対して一抹の優しさを持ち合わせていたのが救いでした。
実際の犯人は飼い猫を殺して、母親に見せ恐怖を与えていたようなので。映画と言う創作内の良心は残されていた。
ラスト主人公がどうだ!って気持ちだっただろうにみんなの反応の薄さには笑ってしまった。
しかし死体の真っ青になった顔は本当に恐怖です夢にでそう。
娘さんは綺麗でしたね。ついついパンチラを追ってしまう男性の悲しき性。
ここ最近、テッドバンディ、フリッツホンカ、ハウスジャックビルトなどのシリアルキラー物が増えてきているような感じですね、それを受けての今回のリバイバル上映なのかな?
今作は不思議と古さは感じなかったが、カップルとか見に来てたけどどんな気持ちで映画館をでたのか知りたい。
殺人が遂行できるのかこっちが不安になる
実在したシリアルキラーの犯行の様子を描いた話。予告で心的外傷を及ぼす可能性があるといっていたので気になって見てきた。
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最初に言うと予告は完全に誇大広告。まぁこういう映画に耐性がない人はかなりキツいと思うけど、今の時代世の中にはタチの悪いグロ映画が溢れててそれを見なれてる側からするとそんなにだった。
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ただ、撮影方法がめちゃくちゃ特殊。Goプロみたいなカメラで撮ってたり、ドローン初心者が撮ったような安定しない超俯瞰だったり。結構酔う。
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そんでこの殺人者もシリアルキラーなのは確かなんだけど、何せ精神がおかしいからなかなか上手くいかない。映画で作られたシリアルキラーって完璧でスキがないからそれに見なれすぎて色々と手こずる主人公に不安が募る。
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特に家の中で娘と最初に鉢合わせるところのドタバタ感がすごい。どうした?今おばあちゃんの目の前通り過ぎたで?大丈夫か?って何故か応援してしまう自分に気づいて怖くなる。
犬が癒し
煽り文句に釣られて観に行ってきました。
気分的にはホラー映画を観に行く感覚とでもいうのでしょうか…
しかし途中から「なぜこの映画を作ろうと思ったのか、なぜこの映画を観にこようと思ったのか」という疑問が渦巻きました。
あと、自分のことを棚に上げて「この映画観に来てる人って何なんだろ、変な人も観にきてそう」と周りの観客を疑う気持ちにもなりました…
ただひたすらに犯人目線で進んでいき、物色したり人を殺したりするだけなのであまりストーリーというものはないです。
なかなか死ななかったり計画通りいかないところや、必死に死体を運んだりするところが妙にリアルでした。
カメラワークは評判通り良かったです。
カメラ酔いする方なので不安でしたが許容範囲でした。
面白くないとは言いませんが人にお勧めも出来ないです。
今日はとことん落ちたいなって日にいいんじゃないでしょうか。
女性客もわりと多かったです。
超Espresso
1980年、オーストリアに実在した殺人鬼の回顧録。
主人公の犯罪歴から始まり、あれ?みたことある!?後から調べたら88年にビデオ化されてたとのことではあったけど、劇場初公開だし、ほぼ覚えてなかったのでまあ良いかでレビューをば。
ある一家を縛って殺して悦に入る殺人犯の、志向、理想、癖、衝動を主人公談のナレーションを交えながら振り返る。
興奮しながら実行していく様は、どこか淡々としていて再現フィルムの様な感じだし、本質の部分は当然理解出来る訳が無いけれど、心の奥底でどこかでわかる様な気持ちの悪さと共に、興味深さを感じてしまう。
テンポは悪いし、今みると映像的なグロさも大したことはないけれど、惹きつけらる不快さがあった。
安心して見てください。
何ヵ国で上映禁止!途中退出者続出!
みたいな触れ込みまじで信用できません!て言うのを証明してるような映画です。
全然怖くない、ハラハラもしない、少し不安なのは「ワンちゃんに酷いことしないで…」これだけ(笑)むしろ登場人物のありゃりゃ?な行動に笑いさえ起きます。
上映当時はヤバい映画だったんでしょうね…て感じです。
多彩なカメラワークと異様な旋律で描くシリアルキラーの不安
この手のホラー映画は、被害者側からの恐怖を描く事が多い。しかし本作は、主人公でありシリアルキラーを主観におき、彼が狂気に走るのかをじっくりと捉えた、犯罪検証VTRの意味合いが強い。
ステディカムやズームによる極端な接写ショットや、クレーンでの高所からの俯瞰ショットといったカメラワークを多用しつつ、さらに耳なじみの悪い旋律の音楽が、観る者のアングスト(不安)を煽る。
ミヒャエル・ハネケやギャスパー・ノエが作品づくりの影響を受けたそうだが、確かにハネケの『ファニー・ゲーム』やノエの『カルネ』を思わせるシーンがあった。ただ、そうした観客を嫌な気分にさせる演出には、以前からあざとさを感じていた。
かたや本作からそれを感じないのは、シリアルキラーが持つ殺人欲求への“純真”さが、突き抜けて怖いからといえる。だからこそ、この監督は「危険すぎる」とみなされ、次の商業用映画を撮れなくなったのかもしれない。
逆に言えばハネケやノエは、うまく映画界で立ち回れているからこそ、毎回センセーショナルな作品を発表できるのだろう。
不快指数120%なので観る人を選ぶのは確実だが、一つ言えるのはワンちゃんが癒しキャラ。
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