アングスト 不安のレビュー・感想・評価
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サディズムの肯定
個人評価:3.8 人間のネイチャー(本質)は他者を殺す事とアンチクライストで説いた、ラース・フォントリアーと同じ目線で作られた作品だと感じる。 実際の事件の犯人であるこの主人公は、精神異常ではなく、責任能力があり通常の処罰に値するという判決。要因となった強すぎるサディズムは病気ではなく、誰しもが持ち合わせている人間の感情の一部である事を、この実在の猟奇事件を通して物語っている。 83年作ではあるが、作り込まれたカメラワークと、奇をてらわない演出で、今見ても古さを感じない。サディズムの元に殺人を肯定する作風は、確かに上映禁止に値するテーマ。問題作ではあるが、孤高の作品でもある。
「実際に彼がいた」という点がキモ
これは、記録映画だ。
って思った。
思考パターンの記録映画。また観たい。
最初から、主人公は精神状態がおかしい。
冷静じゃないし、客観視が出来てない。
主人公の語りで物語は進んでいくけど、アレは後日の取り調べで語ってる台詞、という事なのかな?
とにかく、主人公の心理状態、
そういう心理状態の人間が、この世にはいるんだ。
という事が、「いそうではあるな」(実際いた訳ですが)っていう感じがして、とにかく怖い。
ストーカーとか「あの子は僕(私)の事が好きなんだ」って言ったりする。って言うじゃないですか、
主人公の繰り返す「完璧な計画」っていうのが、全然完璧じゃない行き当たりばったりで、完全に妄想というか、空想というか…。
主人公が、「こうあるはずだ」「こうあって欲しい」の世界で生きてる。
っていうのが分かって、すごく怖い。
最初の女性二人を誘って、犯行に及ぼうとするけど、最後まで見た後だと「いや、お前失敗するよ、声掛けても」って観てると思うし、
最後の状態でも、思考があんまり変わらないのね、
「こんな状態だから、不審がられるだろう」って思考に全然ならないの。
それが怖い。
自分の生育歴のせいだ。
って彼が独白するところで、心臓がギュッてした。
虐待を受けて育ったら、
虐待をするんだろうか。
って。
自分はそう思わないけど。
これは、殺人鬼の思考パターンの記録だなぁ、と思うけど、
「自分の空想の世界に生きてて、実際の事を捉えるのが苦手な人間」っていうのは結構いるから、
そういう人は、
「もうやめてくれ…」
ってなって、しんどい感じが、すごいいいんじゃないですかね?
って思いました。(自分の事だよ…)(ちゃんと事実に目を向けて生きていきたい)
犬が・・
とりたてて過激な描写があるってわけでもないですが、たしかに不快な内容ですよね。 わたしは結構好きですが。 人間なら誰でもいいワン♪な人懐っこさ全開の愛くるしいミニチュアダックス。 いつ殺られてしまうんかってこっちも不安でしたが、あんがい大丈夫だったわ。 おまけ・・・ 久しぶりのキネカ大森、二本立て。 映画の日だし、二本で千円は嬉しい。 それと合わせて、もひとつ嬉しい自由席。 やっぱり自由席っていいな。 今となっては憧れの自由席。
トラウマ級の映画
久しぶりに、鑑賞を中断して外に出ようかと最後まで迷い続けたトラウマ級の映画。 第三者の者達が主人公に対して持つ印象と、その第三者達に対する主人公の内面、妄想の恐ろしいほどの乖離具合、主人公が嘔吐をしたときの心理状態、実話を基にしたと思うと本当に心理的に鑑賞が厳しかった。 ただ演出、演技は素晴らしかった。トラウマになるほど素晴らしかった。 あと心配からそのうち気味悪さに印象が変わっていった、あの可愛いはずの犬も素晴らしかった。
ただ ただ 残念な作品でした
なんだか、とっても残念な作品でした。 殺人鬼が感じる不安、プレッシャーによる異様な行動や心理状態…って、何?どう見ても、ただのアホ。バカにしか見えない。狂気なんか感じない。 それから、斬新なカメラワークって、何?あの殺人鬼目線の揺れる画面のこと?揺れ過ぎて、吐きそうでしたけど? 殺人鬼という割に、ドキドキハラハラもなく、恐怖感もなく、ただただ残念な作品でした。
すごくよかった
殺人に対する欲求にまっすぐで、それが殺人なのが大問題なのだが、それにしても脇目を一切振らないのがすごい。いろいろと雑で後先考えないところも、本当に人を殺したくてしかたがない感じがする。もたもたした描写も、変に生々しくて悪くない。常々人はやりたいことをやって生きるべきだと思っているのだが、やっぱり殺人はダメだと思う。
女の子をドアノブにテープで足を固定したのが意味不明だ。自撮りのようなカメラワークが斬新で、狂ってる感じがする。愛玩犬は何の役にも立たない。飼い主が殺されているのに殺人者に吠えることすらせずただ走り回るだけ。
サイコちゃんはじめてのおつかい
「綿密に」練られた計画性でもって、ドタバタといきあたりばったりに進んでいく犯行。
妄想ではストーリーは完璧なのに現実では初めてやるから、まあ手際(?)が悪い。
加えて、きっとこの犯人運動できないんだろな…という身のこなしでよたよたと殺人を行っていく。
基本的に思いつきと衝動。それ以外はアウトオブ眼中なので、あっさり捕まる。
今までもそうだったから、何度も檻に入ってたんだろうな。。。
この映画も実際の事件をもとにしたんだそうだから、事実は小説よりも奇なり。
思いつきでさくっと襲われたんじゃ、たまらないよなあ。そして防ぎようがない。
それをしみじみと感じられる映画でした。
バイオハザードのゲームみたいにプレイヤー視点での映像が1983年の映画にしては斬新だったのと、音楽の美しさが秀逸。
そういえば劇場に、The Dog Is Safeって描かれたTシャツが売られていたけど、この映画のもうひとついいところはそこ。
ワンちゃんかわいいよ、ワンちゃん。
フランクフルト食いたい
いつか忘れたが昔にイギリスかどっかで公開されてあまりの凄惨さに上映1週間で中止になった作品 ・カメラワークが素晴らしい 一人称になったり三人称になったりと思ったら引きの画になったり かなり引き込まれた 中でもお気に入りは主人公が刑期を終えて保釈されるという時に刑務官と一緒に歩くシーン 撮り方がなんというか蟻視点 ・音、音楽が心地よい 前半の主人公が歩いている時の靴の音が心地良すぎる 鳥が羽ばたく音もまるで自分の近くにいるような感じ 音楽も不気味だがずっと聴いてられる タイトル通り不安になるはずなのになぜか心地良い気持ちになる自分に不安になる ・殺害シーンは予想よりマイルド 罪のない一般人が次々と殺されていくのは見るに耐えないが、思っていたより刺激は強くない しかし、主人公の言動に関しては恐ろしくなる 残虐シーン序盤の興奮しすぎてフラフラになりながら被害者の両手足を無理矢理縛るシーンには恐怖を感じる テキパキやらないのが逆に怖さを増している 「人を殺す」という恐ろしいことをしているのに、前半はそっちのけで自分の幼少期のトラウマのことばかりが頭の中を駆け巡るのも、こういう凶悪な犯罪者を上手く表現していると思った また、殺し終わったあとにアドレナリンが出まくって震えるシーンは恐怖を通り越して気持ち悪さを感じた 暴力的というより精神的な恐怖の方が強い 役者の演技力も後押ししてかすごいリアルだった 正直、カメラワークと音が良すぎて何回でも見れる映画だ この内容でしかもコロナにも関わらず席は結構埋まってた 終わった後口を押さえて気持ち悪そうにしていた女性もいたからあまり人にオススメする映画ではない ・結論 犬、すごい
何年か後にまた見たい
37年前の映画だからだろうか、めっちゃ不快な映画と前情報が多かった分期待外れ。 女性はきれいな人が多い、二度と見ないだろう。ソーセジ食うシーンが気持ち悪い。感情移入宇できなかった
殺風景な街と異常性や狂気はオーストリア印
1983年映画なので、当然フィルムで撮影された映画であり、40年弱の時をえて、お披露目されるにあたりデジタルリマスタリングされているはず。 それでも、映像は全編薄ぼやけたくすんだ粗い感じで、この映画の舞台であるオーストリアの小都市は一面曇りの風景。 街の建物はどこも同じような形と色で古くさびれている。 殺人鬼の主人公がガソリンスタンドでありつく料理はソーセージにマスタードだけ。ドイツやオーストリアの軽食はこんな感じなんだろうが、殺風景な天気と街並みに次いで、食事も味気なく、なんの楽しみもなさそうなオーストリアの街。 さすが、オーストリア。作家トーマス・ベルンハルトを生んだ国。トーマス・ベルンハルトという作家は生まれ育った街(ザルツブルグ)、そこでの生活や文化、家族やそこに住む人について、死ぬほどつまらなく感じ、相当嫌っていて、そのつまらなさについて、ひたすら愚痴と呪いで語り続けた作家である。トーマス・ベルンハルトがなぜそんなに愚痴り呪い続けたか、この映画の曇り空の殺風景な街を観て少しわかるような気がした。 あるいは、オーストリア映画といえば、ミヒャエル・ハネケ。人間の異常な暴力性をしつこく描く作風で有名だが、映画であれ、小説であれ、オーストリアといえば異常性や狂気を売りにするところであり、それは、もはや定番であることが、ベルンハルト、ハネケ、そしてこの映画でみえてくる。 なぜこの映画の主人公が狂っているのか?それは、オーストリア映画だからというのが一つの答えになると思う。
終始落ち着かない
Twitterで記事が流れてきたので拝見! 噂通りドローン撮影が無かった時代の作品とは 到底思えないカメラワーク! イメージではファニーゲーム的な 話なのかなと思っていたけど もっと静かにもっと不安で もっともっと現実感を持った狂気だった!
昔よく観た再現フィルムの様な
この程度の作品ならイタリア映画等に良くあり普通に83年頃なら地上波で放送されてたしウィークエンダーの様な番組の再現フィルムによくあった 今の時代に一本立てなら物足りない距離だが
撃ちますよ。
粗挽き肉ぎっしり、肉汁たっぷり、マスタードでっぷり、フランクフルトはうまいのだ。 腸皮にミンチ肉を詰めるというグロテスクさがまず良いし、ミンチ肉だからなんの肉が入ってるかわからないところにもときめく。 人差し指くらいの大きさで皮が弾けるジューシーなウィンナーも良いけれど、太くて長くて皮の硬そうなフランクフルトはやっぱり特別なのだ。 この映画を観た後にフランクフルトを食べたら異常に美味くてドキドキしたので、まずはフランクフルトについて語ってみた。 輸入食材屋さんで売ってる、読めない言葉が書いてあるパッケージの、やたら高いやつ。やたらうまいのよね。 殺人鬼目線の映画は、殺人犯自身がドジでグズで計画性に欠けているほど、魅力的で恐ろしく観られる。 そこに自覚がなければ尚更のこと。 スマートにやっているつもり、クレバーに動いてあるつもりなんだよね。 「緻密で完璧な計画」なんてズタボロなのにドヤドヤ大満足できているのに笑えて、カクカクした動きで常にドタバタしているのに笑えて、なぜか懐くダックスフンドに笑える。 笑えるのに、震えるほど気味が悪い。 不安定な言動には異常性が付き纏い、興味深くて目が離せない。 ダイナーにて、獲物を定めるような気持ち悪いガン見と気持ち悪い咀嚼が好き。 血をゴクゴク飲んでゲボゲボ吐いてしまうアホさ、前のめりになる興奮と欲望の暴走加減が好き。 殺される立場なら絶対にやられたくないけれど、殺しを観ている立場からしたら絶対にやってほしいことのオンパレード。 どぎついカメラワークに驚愕。 息遣いや汗ばむ湿気すら感じられるほど近づいてみたり、流れるように天に昇り全てを見下ろしてみたり。 作中の出来事と共に演出にも酔いしれることができた。 つまづいてアタフタしているシーンも丁寧に見せてくるので、苛つくところも多々ある。 終盤だって本当はもっともっと頑張ってめちゃくちゃにやっちまって欲しかった。 ただ、その中途半端加減やテンポの悪さも不気味さを増幅する効果になっているんだと思う。 全体的にアンバランスな映画で、それが気持ち悪くて気持ち良い、好きな作品だった。 血を飲むときは一気飲みじゃなくて少しずつ、ワインを嗜むように飲むのが良いのよね。
宣伝力かなー。
行動と独白が解離しすぎて、滑稽で笑える。 似たようなハウス・ジャック・ビルドの方が不快な映画なのに、客層が全然違ってた。というよりもハウス…の方は誰もお客さんがいなかったんだけど宣伝の差かなー。江戸木純が関わっているので成る程と思いました。
誰もがシリアルキラーになる可能性がある
殺人鬼のモノローグで全体を纏めるという前代未聞の作品だ。カメラワークにはのっけから驚かされた。中盤ではドローンを使ったのかと思わせる俯瞰が登場する。とても37年も前の映画とは思えない。誰かがスマートフォンを取り出すシーンを入れれば即座に最近の映画として通用するだろう。 やみつきという言葉がある。病みつきとも書くのである種の精神の異常なのかもしれない。食品などの好みによく使われる言葉で、例えばパクチー(香菜)などの特別な匂いのする野菜は、嫌う人も多いが、最初は嫌いだったが食べているうちに好きになって、今ではやみつきになったということもある。当方もその一人だ。 本作品の主人公にはまったく感情移入できないが、もしかしたらパクチーと同じように、人を傷つけたり殺したりする行為は慣れていくうちに快感になるのかもしれないとは思う。頻繁に人を殴る人間を知っているが、とても嬉しそうに殴っている。殴ることに慣れると殴らないではいられなくなるのだろう。 日中戦争では関東軍の将校が百人斬りを争ったという話がある。当時の東京日日新聞に105人対106人などと書かれていて、さも快挙であるかのように喧伝されている。当時の日本が国全体で本作品の主人公と同じ精神性であったのだとすれば空恐ろしい。普通の平凡な人間でも、ある日突然シリアルキラーにならないとは限らない。それが国家単位で行なわれれば即ち戦争である。 描写はリアルである。主人公は至って普通の腕力の持ち主であり、それが人を殺せるのはひとえに精神の力である。殺せる人と殺せない人の間には深い溝があると思っていたが、慣れれば意外にすんなり飛び越せる溝なのだろう。誰もが主人公のようになる可能性があるのだ。とても怖くて不気味な作品であった。
ぜんぜん退屈じゃない
退屈でも冗長でもありませんでした ずーっと惹きつけられて、あっという間に終わってしまいました 暗ーーいヨーロッパの雰囲気がハマったせいかもしれませんし、個性的でワクワクさせるカメラワークのせいかもしれません 冒頭、神経質そうな男が靴音を響かせて歩き回るシーンで「あ、これは当たりの映画だ」と感じ、暗く冷たい世界観に気持ちよく浸っていると、どんどん不穏で破茶滅茶なことになっていって、なんとも落ち着かない気持ちに あーーー!何するのーーー!? 何何何何?!?! えー……もっと、こうさぁ………… は〜〜 何なの???? 頭の中はパニックでした 展開のグダグタなところがまたリアルで、とても面白かったです
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