ハーフ・オブ・イット 面白いのはこれからのレビュー・感想・評価
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スマホ時代のユニークな三角関係
三角関係の作り方が非常にユニーク。白人ばかりが住むアメリカの田舎に暮らす中国系アメリカ人の女子高生が、同級生の白人男子からラブレターの代筆を頼まれる。相手は主人公がいつも気にしていた白人の女の子で、いわゆる眉目秀麗、周囲に合わせているけど、本当は居心地がわるいと感じているような知的レベルの高い女の子だ。主人公は見事な知識と美文でその子のハートをつかむが、男子当人はまるで知識がない。彼女が惹かれたのは主人公の感性であり、主人公もまた同じ町で初めて話の通じる相手を見つけた喜びを感じる。
これが同性愛なのかどうか、本人も悩んでいる。同性に対するあこがれか、友情か、それとも愛なのか。性的志向はそもそも固定的なものではなく、流動して移ろうもの。そのうつろう気持ちのリアルが描かれていた。
男子と彼女が向かい合ってディナーしているときに、主人公がメッセージアプリで助け舟を出すシーンは、スマホ世代ならではの三角関係の演出としてすごく新鮮。小道具としてのスマホの使い方が上手い。
愛はみじめで、利己的で、、とても大胆
愛とは何か。好きとは何か。
この年代の子達には共通のテーマ。
色ろんな形があるけれど、この手の三角関係は面白い。
手紙の代筆を頼んだアメフト部のさえない補欠のポール、頼まれた中国系のクラスで少し浮いている秀才少女エリー、手紙の相手の容姿端麗なアスター。
ただの代筆のつもりが、文通をしている間にアスターに惹かれていくエリー。2人の文通がまた秀逸。お互い本が好きで、2人が書く文章は少し歪なほど綺麗に描かれて、同世代の友達とは異なる雰囲気をお互い感じている。そんな2人のやりとりが心沁みる。ポールは可哀想。
でもバカでアホだけど、アスターを想う気持ちだけは人一倍あり、そのための努力する才能を持ち合わせた彼は憎めない好青年よ。
作品の中で、色んな形でloveが例えられてる。
他の人から笑われる惨めなモノ。勝手に思ってるだけのとてつもなく利己的なもの。バカみたいに努力できること。時にとても大胆になれるもの。
どんな形であれ、それはloveだと。
よく恋と愛の違いとかが議論になるけど、ここではそんなの区別せず一色単にlove.
いずれにしても、誰かのことを想って自分が変わることだよね。
アスターのお気に入りの池でエリーと2人で水に浸かってるシーンがなんとも神秘的で美しかった。
信じるものをみつけようね。
彼らの「これから」に思い馳せてしまう。
学生時代にこの作品と出会っていたら、どんなに自分を豊かにしてくれただろう。
愛とは何か?に触れる、心の豊かさを手にする方法、ジェンダーイシューへの理解、古典的作品への関心、映画にももっと早く夢中になれただろうなとか、いくつもの問いかけがあることも含め、最高のエンターテイメントでした。
中国人として差別を受ける傍ら、秀才故にレポート代筆でお金を稼ぐエリーは、妻を亡くして塞ぎ込む父との2人暮らし。冴えないアメフトの補欠選手ポールから依頼されたのは、自分も好意を寄せる学校のマドンナアスターへ贈るラブレターの代筆だった。
引用される古典文学や哲学者の言葉が、さりげなく物語に踏襲されていく。嗜好が似ているエリーとアスターは理解し合えないはずがなかった。手紙やメールを通じたやりとりは楽しそうなほど、悲しいくらいに切なくて、アスターはポールだと信じてどんどん2人は距離を縮めていく。そしてここはカトリック信仰者の多い小さな田舎町。同性愛者だと言えるはずもない。
番狂せ的要素はポールが気持ちいい程に“いい奴”だったこと。差別を受けるアリーに代わって言い返したり、冴えないけどスポーツマンな彼は根性だけはあった。アスターが好きな作品をエリーと学ぶことに明け暮れる様子は、真っ直ぐで兎に角憎めない。いつしか友人がいないエリーにとって良き理解者であり親友となったことは贈り物のような誤算だった。
ポールの代わりにエリーがアスターの魅力をつらつら話す一連のシーンは、この作品の魅力が凝縮されている。エリーの立場と心情を繊細に描いたこのシーンはきっとずっと私の心に残ると思う。台詞回しもカットの切り取り方も終始美しくて、映像作品を楽しむ面白さにも気づかせてくれる。
ラストも言い切れるくらい最高です。「出口なし」と感じていた3人が、愛、恋、人生、それぞれに答えを導き出して一歩踏み出す。タイトルどおり面白いのはこれから。一旦終わりを迎えた物語によって、本当の物語がスタートする彼らのこれからが知りたくなる。どうしたらこの3人が揃ってしあわせでいられるのかを考えてしまうほど、多面的に描かれる彼らが愛おしくなります。
これは誰かが何かを手に入れる話ではないのです。愛とは何かを描いている点でラブストーリーなのかもしれませんが、ロマンスには焦点を当てず、思いがけず縁を持った3人がお互いに影響し合い、人生を切り開くための自分らしさを探す物語。人種、ジェンダー、貧困問題を描いてます、という顔つきではないまとめ方にも誠実さを感じて大好きな一本になりました。パパとポールはどんな形で友情を築くんだろう。続編が観たいです!
良質なる日本産アメリカ映画
プラトンに始まりサルトル、イシグロ、ヴェム・ベンダース、ジョージ・キューカー、などが飛び交う中、その映像は日本の80年代の少女漫画かその影響下の日本の私小説映画の一人称視点を持ったアメリカ映画ではありえないアメリカ映画。そのテーマもチェーホフかゲーテやツルゲーネフに憧れた日本の文学少女のようなシナリオ、鮮烈である。そして思春期に異性を求めるアメリカ若者を描く青春映画には絶対存在しなかったが痛烈なるジェンダー論がここでは内包され今後のアメリカの青春映画の向かう方向を示唆した、いかにもイシグロ的映画と言える。時代は村上ではなく石黒が見据えていたというお話。良質な日本産アメリカ映画と言っていいような新ジャンル。二階堂ふみ主演で中原俊か岩井俊二が撮っているかのような錯覚に陥る映画である。
平熱で大切なことを伝えてくれる
これはずるい。
Netflixの青春映画。ラブコメディ。おしゃれな作風。これだけで甘くみて手を出さない人がたくさんいるだろう。映画が好きな人ほどそうかもしれない。しかしそんな人は損をしていると思う。「ハーフオブイット」は、ぱっと見では若者向け青春映画の顔をしながら、実な普遍的なメッセージを持った素晴らしい映画で、でもそれをやっぱり若者らしいおしゃれな語り口で伝えるという、ひねくれた傑作だ。ややこしいのだ。
ただ、このややこしさが物語とも非常にマッチしている。登場する引用の数々。ややこしい状況に身を投じることになった主人公の、苦し紛れの行動が、さらに話をややこしくしていく。その中で翻弄される3人の登場人物の心の動きは、まるで全てがややこしい青春時代を思い出させてくれるかのよう。LGBTやアジア系アメリカ人と言ったややこしい原題的なテーマを扱いながらも、全然説教くさくないところもいい。常に平熱で「青春時代なんてそういうややこしいもので、それもまた悪くないよ」と肯定してくれるのだ。また表現が非常に巧みで、平熱だからと言って盛り上がりに欠けるとは思わせない。記憶に残る美しいシーンや、コミカルな演技、思い出したくなる気の利いたセリフで、ちょいちょいドキドキさせてくれる。
ハーフオブイット=もともと一つだった、自分の片割れを求める人間の愛について語るプラトンの引用から始まり、邦題についている「面白いのはこれから」というダブルミーニングのドキドキで終わる構成とその読後感も清々しい。「若者らしいラブコメディだから」という軽いノリで見る(はず)の、世界中の若者たちに、人生を前向きにとらえられる魔法をかけていると思う。それはとても良いことだ。
15年ぶりの2作目
わが国最高のLGBT映画として名高い「彼らが本気で編むときは、」のように、日本映画がLGBTを描くばあい「わたしはかわいそうなLGBTでございます」と世間から虐げられていることを言挙げし同情や涙を稼ぐのが常套手段である。
わたしはAlice Wu監督のSaving Face(2004)のレビューにこう書いた。
『LGBTがうさんくさいのは、ほとんどの人間にとってのパートナーが、女が好きか、男が好きか以前に、(相手が)いるか、いないかの問題だからだ。
ゲイがさべつはんたいとシュプレヒコールしながらパレードしていても、独り身の人間にとってみれば、おまえの権利なんぞ知るもんか。──なわけ、である。
必然的にそのことに気づかない同性愛者はばかだと個人的には思っている。
とりわけ日本では少子高齢と個人主義、格差社会と価値観の分散によって、望むと望まざるにかかわらず、独り身でいる人間が多い。そして色恋から遠ざかり長く独居している彼/彼女は他者との邂逅に恐怖心を持っている。
ようするにLGBTの活動とは、そんな環境に気づかず「わたしの恋路を阻む者はゆるさん」と言っているに等しい。畢竟──おまえの恋路なんぞ、知るもんか──ということになる。わたし/あなたが男が好きでも、女が好きでも、あるいはほかのいかなる性が好きでも、勝手にすればいい話──である。
したがって映画にLGBTの謳いがあるならば、警戒する。こっちはLGBT様に反対も、賛成も、その他いかなる感慨もない。誰が誰を好きだとして、なんの関係があるだろう。
LGBTコンテンツの概要は、同性を好きなことで差別に遭い、その顛末を描いて差別はやめよう──と啓発するものだが、同性愛者がその疎外感を訴えることができるならば、パートナーを欲していながら、孤独を受け容れなければならないストレートの寂しさも訴えることができる──のではなかろうか。
なぜLGBTだけが成就しない恋愛を嘆くことができるのですか。何十億人というストレートが一人寂しく過ごしているこの惑星で。──そうは思いませんか?』
LGBTがやる恋愛も、ストレートがやる恋愛も、ただの恋愛に過ぎない。それゆえ「わたしはかわいそうなLGBTでございます」と弱者スタンスをもってくるLGBTコンテンツには(個人的に)凄まじい欺瞞をおぼえる。
世の名作、アデルやブロークバックやゴッズオウンカントリーやムーンライトやラヴサイモンや君の名前や・・・どれでもいいが海外LGBT名編が「わたしはかわいそうなLGBTでございます」と言っていますか?そんな物乞いをしているLGBT映画は一つもありません。
われわれにんげんは、だれもが、恋愛にたいして不屈の闘志を持っている。LGBTだけが相手を希求しているわけじゃない。にもかかわらず、同性愛者の愛の探求のほうが、ストレートのそれよりも高尚であるかのような扱いをうけるのが、(個人的には)気にくわない。
もしわたしが同性愛者で「生産性なし」と言われてしまったら「まったくそのとおりですよね、ごめんなさい」と謝るだろう。同性どうしで子供ができないのは哺乳類の定理だが、わたしとパートナーが同性どうしなのは、そのこととまったく関係がない。おまえら子供できないだろと言われりゃ「まったくそのとおりですよね、ごめんなさい」としか言いようがない。どこに差別があるのだろう?
(何も知らない人間の浅慮にすぎません。)
Alice Wu監督、15年ぶりの2作目。Saving Face(2004)同様、中国(系アメリカ)人のお話だが、若年層にアピールする風合いがある。レズビアンを扱っているが、普遍性のある青春映画で、エイスグレイドやレディバードやスウィート17モンスターなど、学園ものに通じる印象もあった。
わたしが感じたことはエリーチューが力強く生きていること。ラヴレターの代筆という、ネットフリックスっぽい恋愛ネタを使って、(同性愛者のトクベツな恋愛でなく)たんなる恋愛映画になっていること。徐州市からアメリカにやってきた移民であること。コミュニティに溶け込むのに苦慮していること。──映画は、それらLGBTやマイノリティや疎外感を、同情や涙を稼ぐ手段に使っていない。エリーチューは弁解せず力強く生きている。だからむしろ彼女のつらい気分と晴れ晴れした未来が伝わってきた。のだった。
ところで、設定の問題なのかもしれないがネットフリックスていうのは、どうして見たくもない映画が前面に押し出されていて、見るべき名編が後ろや奥の方にひっそり隠れているのだろうか?
面白いのはこの映画
2021年5月15日
映画 #ハーフ・オブ・イット面白いのはこれから (2020年)鑑賞
@Netflix
ネトフリで面白いと評判なので鑑賞
中国系の女子高生を主人公に、マイノリティに視点を当てた映画
地味な主人公というのが共感を得たのかな?
爽やかに終わっており、視聴満足度が高い映画だと思う、オススメです
どこにでもある世界だからこそ良かったのかも
主人公が美女、恋をする相手がイケメン、というのではなく、ごく普通というより地味な主人公だから良かったのかもしれません
恋愛映画だけど友情も同じくらい大切に描かれていて、それもホント良かったです
伏線回収にもなるラストシーンがとっても大好きです
ジーンときました
ステキな青春映画でした
It’s happening in...
安易な選択をするのではなく、自分が信じられる部分を己に見出せるまで探し求めよという若者への檄文のようでもある。グッドウィルハンティングを想起した。
東洋系女子と白人青年というあまり記憶にないバディーが実に楽しい。ポール青年の屈託のない笑顔(絶対コイツが書いたメッセージじゃない)がコメディ感を高める。
田舎町を切り取る美しさもこの作品の特長である。天然温泉で仰向けに浮かび、その半身が水面に映り込む姿は美しく、この作品タイトルも連想させる名シーンである。後、何気ない衣装にも興味。エリーのカラフルなボーダーインナーやアスターのジージャンの着こなしが楽しい。衣装といえば、狂気のピンクのマフラーに笑ったが、mud kingと馬鹿騒ぎする白人コミュニティのトラッシュぶり、他方、ゾンビ映画を笑うアスターと分断表現が顕著である。
ラストシーンの出来の良さで作品全体を温かく仕上げている。なんでもないようなことが幸せだったと思う。エリーに幸あれ。
たまらなく大好きなこの"空気感"
これは文句なしに「いい映画」
なんというか感銘を受けてしまった。
口下手なKY男子と一匹狼の文学女子との空気感と温度差がすっごい面白くて、一人静かにずっとニヤニヤしていた。
しかも作品自体は笑わせに来てないから尚更笑える。
作品の空気感がスーっと澄み切っていて、まだまだこの世界に浸っていたかった。
A24みたいな独特な作風でなんかもう監督の才能が惜しみなく出されている感じ。
アリス・ウーとかいう監督すごいな。
スケールは小さいけど、圧倒的テンポと熱量の脚本。だけど、登場人物のキャラの濃さが熱量を笑いだとかドラマに変換するという相乗効果の化学反応。
いやホントすごいですこの監督。
これからは要注目だな。
もっとすごいのは、同性愛や移民、「自分を演じてる」とか「愛とは」など、作品の深みが無数に存在していて単なるラブコメで終結しないところ。
ちゃんとメッセージ性があってそれがまた爽やかで最高。
重いメッセージ性ではあるんだけど、それを何気なく観客に、しかも爽やかに伝わるようになってる。
これは、2020年間ベストに確実に絡んでくる作品だ。
マジでいいからみんな観て!
ハーフ・オブ・イット
愛とは何かの物語。
愛の形は1つじゃない。
『誰かのために努力することが愛』っていうのはこの作品の一貫したテーマ。
エリーは自分の愛を偽って苦しんでいた。
ポールは口下手を克服したり、アスターと話が合うように散々努力した。そしてエリーの気持ちを知って相当苦しんだはず。
アスターは本当の自分を見失い本当に好きかどうか分からない人と結婚するか最後まで悩んだと思う。
この3人はそれぞれがもがき苦しみ、失敗し、それでも努力をした。これこそが愛だと。
愛の形は1つじゃなく、エリーが母親のことをずっと思うのも愛の形だし、父親とエリーの相互の愛も描かれてた。
特に前述の3人は3人それぞれに愛の矢印が行き交っている状態。
メールの表現がおしゃれ。きっと星のせいじゃない、での表現方法と似てる。
ポールに共感しまくり。メールを打っては消してを繰り返すエリーにも共感。
お洒落なセリフの宝庫。
『なんでいつも夜更かししてるの?
世界が静まれば物事のことを考えられる』
高評価バイアス
が多少ある気がする。レビューが押し並べて高評価で期待しすぎたこともあるが、ぼくはあまり面白さが分からなかった。
手紙の代筆で自分の気持ちを押し殺しながら想いがすれ違う物語はありがちだし、単調な展開のなかで唐突な関係の変化が訪れて入り込めなかった。それがリアルというものか。
人種問題やLGBTをテーマとし、スマホネイティブな恋愛のやりとりはNetflixオリジナルらしいイマドキのつくりだったが、作品としてはあまり特徴がなかった。その繊細さが刺さるポイントだったのかもしれないけど。
メジャーな作品とは異なり触れる人の母数が少なく、オンライン配信のみでコアな人が観ることで評論家的なレビューが目立ち勉強にはなった。
いいねえ!珠玉の作品!観て損は無い!
内容についてとやかく書きませんが、とにかく良い映画です。
ネットフリックスでは、ついついお金のかかった派手な作品ばかり見てしまいます。
でも、見て良かったなあ、と思う作品に出会うことは滅多にありません。
大体、見なきゃ良かった、時間の無駄だった、と後悔するものばかりです。(あとAIか単なるアルゴリズムか知らんが、私向けに並べてくるおすすめ作品を見ても、ひつとも見たいと思わないのはなぜ?馬鹿だよねえ、あれは)
しかし、本作のような超地味な作品でも、ああ!見てよかった!と思える作品に出会うと幸せな気分になります。
良いものは良いのですよね!
心の文字を書け!
「ラストレター」「mellow」「パラサイト 半地下の家族」など、2020年に僕が見た映画には『手紙』が良く出てくる。メールやLINE全盛で、直筆の価値がより高まってる現状が伝わるなかで、最もその価値に向き合わせてくれる映画が本作かもしれない。
アメリカの映画で中国の女優が主演という意欲作。
登場人物それぞれが、国籍、貧困、家業、ヒスパニック、実力、容姿、決められた相手、LGBTなど、背景を抱えていて、そのどれもを否定的な目線で描くことなく、優しく手際よく捉えていく。
そして最後はその登場人物がバットエンドのように見えて、生き方として前進しているハッピーエンドのように見せて終わる。取って付けたようではなく、ちゃんと筋も通っているから素晴らしい。
アスターがとにかくかわいい。パワースポットのような秘境に行くシーンが最高。
哲学者の言葉が多く出てきて、情報量がかなり多い作品だけど、最後に言いたいことは「愛を自分の言葉で語ることの尊さ」かなと受け取った。
例えば、告白をするときに、自作の歌を作って歌う人がいる。歌手ならまだしも一般人がそれをすると"気持ち悪い"という反応をする人も一定数いるけど、想いを己の言葉とメロディに託すというのは物凄く誠実なことだったんだと気付かせてくれる。言霊を生み出すのは、かなりの労力と想いが必要になるからだ。
最後に白黒映画と上手く結び付くシーンに号泣。一度否定した状況や言葉も、当人のおかれた状況によってこうも変わるんだと。やっぱりハッピーエンドだったと思う。
素晴らしい映画でした。
若ければ自分の片割れにもであえる
ハーフオブイット(自分の片割れ)を探すティーン・エイジャーの旅。
劇中に何度も出てくる「日の名残り」はこの作品鑑賞の為に先日予習したが、予習しておいて本当に良かった。日の名残りでは、鳥かごである屋敷に囚われた執事(アンソニー・ホプキンス)は結局ハーフオブイットである女性執事に惹かれつつも結局鳥かごからは出られなかった。それと若さもあってこの作品でのキャラクターは対照的。
天才的な感性を持つが陰キャなエリー。スポーツセンスあり、背も高いが謎にシャイで口下手なポール、超美人で誰もが憧れる陽キャと思いきや本好きで彼氏に意見を言えないアスター。それぞれ何かしら良いものを持っているが何かが欠けていて、足りない何かを人生通じて探していく。
若いって良いなーと思う良い映画でした。
アスターを演じたAlexxis Lemireには注目です。
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