「良質なる日本産アメリカ映画」ハーフ・オブ・イット 面白いのはこれから mark108helloさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0良質なる日本産アメリカ映画

2021年11月14日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

プラトンに始まりサルトル、イシグロ、ヴェム・ベンダース、ジョージ・キューカー、などが飛び交う中、その映像は日本の80年代の少女漫画かその影響下の日本の私小説映画の一人称視点を持ったアメリカ映画ではありえないアメリカ映画。そのテーマもチェーホフかゲーテやツルゲーネフに憧れた日本の文学少女のようなシナリオ、鮮烈である。そして思春期に異性を求めるアメリカ若者を描く青春映画には絶対存在しなかったが痛烈なるジェンダー論がここでは内包され今後のアメリカの青春映画の向かう方向を示唆した、いかにもイシグロ的映画と言える。時代は村上ではなく石黒が見据えていたというお話。良質な日本産アメリカ映画と言っていいような新ジャンル。二階堂ふみ主演で中原俊か岩井俊二が撮っているかのような錯覚に陥る映画である。

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