「メリークリスマス」恋する寄生虫 ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
メリークリスマス
原作をだいぶ前に読んだことがあり、不思議な話だなと繰り返し読んでいた時期がありました。なんかどこかで聞いたことのあるタイトルだなーと思い調べて見るとドンピシャ。
小松菜奈さんの美貌の宿命というのもあると思うのですが、どうしても彼女をどれだけ美しく撮れるか合戦が勃発している様に思えて、「ムーンライト・シャドウ」は、そこに特化しすぎたせいで、物語が疎かになっている印象でした。
ただ今作、そこを改善していていました。互いに何かしらの恐怖を抱いている者同士のトラウマの克服を恋愛に結びつけていくという流れがそこまで長くない尺にしっかり詰め込まれており、飽きることなく物語を堪能することができました。少しずつ互いを理解し、干渉し過ぎず、でも遠過ぎずの距離感を維持し、林遣都さん演じる高坂はマスクを、小松菜奈さん演じるひじりはヘッドホンを外していくのも地味ながら凝った演出でとても好きでした。
監督の柿本ケンサク監督はMVだったり、CMだったりを手がけている方なので、映像の迫力へのこだわりが合間合間に感じることができました。視覚恐怖症の演出では、写真に映る目に不気味な加工を施したり、背景に目玉が現れるなど、もしも実際にこうなったらを、視覚的に感じ取れるので凄いなと思いました。潔癖症も、虫が湧きまくるというもので、実際にこうなったら自分は卒倒してしまうなと思ってしまうほどでした。オープニングのSFチックな映像もかなり好みです。
これだけ奇抜な題材を用いていながら、ラブストーリーとしても純なものに仕上がっているのがまた驚きです。マスク越しのキスから口を重ね合わせたキスと、両者とも既婚者なので少し複雑な気持ちではありますが、とにかく映える映像になっていました。人々が逃げ惑う中、2人がキスをするシーン、とにかく美しかったです。
主演お二人の演技は言わずもがな素晴らしく、井浦新さんの不気味ながらも優しさの感じる演技もとても心地が良かったです。
ホッとする作品を観ることができました。メリークリスマス。
鑑賞日 11/18
鑑賞時間 16:10〜18:00
座席 K-7