劇場公開日 2021年11月12日

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「題材は美味しそうなのに料理人が下手くそで火の通りが悪くて肉の中の寄生虫が死滅していないハンバーガーみたいな映画。林遣都と小松菜奈の好演が勿体ない。」恋する寄生虫 もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0題材は美味しそうなのに料理人が下手くそで火の通りが悪くて肉の中の寄生虫が死滅していないハンバーガーみたいな映画。林遣都と小松菜奈の好演が勿体ない。

2021年11月14日
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鑑賞方法:映画館

①ウェットでない冷ややかで硬質な映像はなかなか良いと思う。音楽が映像に良く合っている。しかし物語の紡ぎ方がぎこちなく演出の腕はいまいち。脚本の不出来さにも原因はあるでしょうけど。この題材であればもっと面白い映画に出来そうに思うし。②小松菜奈は相変わらずよろしい。林遣都は潔癖症の役にはピッタリだが小松菜奈の相手役としては相性はもう一つだったように思う。林遣都は虚構の世界である映画にリアルさを持ち込むのが大変上手い俳優だ。いわゆる「こんな人いるいる」という感じ。だから『私をくいとめて』では妄想過多のヒロインを現実に繋ぎ止めておく相手役として良いキャスティングであった。本作でも潔癖症の青年をリアルに演じてみせている。一方、小松菜奈は虚構の世界の虚構のヒロインを演じるのにピッタリの個性とスケールを持っているように思う(林遣都にスケールがない、ということではありません)。ウソくさい役を演じてもウソくさくないと言えばよいか(リアルという意味ではなく)。だから『渇き』や『来る』のような現実離れした世界に置いても違和感がない。本作は残念ながらこの二人の違う個性がぶつかっても面白いchemistryが生まれずに個性の違いのみが際立ってしまったようだ。③井浦新のやさぐれ役は珍しいが結局どんな人物なのか輪郭がぼやけている。これも演出が下手なせい。石橋凌に至っては他の誰がやっても変わらないような役(久し振りに見て太鼓腹には驚いたが)。

もーさん