「コロナウイルスの混乱期に撮りあげた苦労を思うと涙を禁じ得ない、ある意味力作。」がんばれいわ!!ロボコン ウララ~!恋する汁なしタンタンメン!!の巻 yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
コロナウイルスの混乱期に撮りあげた苦労を思うと涙を禁じ得ない、ある意味力作。
本作は、初代(1974)、二代目(1999)に続く、三代目となるロボコンを主役に据えた作品。二代目ロボコンを楽しんだ世代も既に親となる世代に入るほど制作期間が開いているため、ロビンちゃんやガンツ先生など幾つかの登場人物や設定は引き継いでいるものの、基本的には本作単体で完結した作品となっています。
物語は中華料理屋に突然ロボコンが現れるところから始まります。この導入部の段階で出演者のオーバーアクションやカメラが寄ったり引いたりを繰り返す、初代でもやらなかったような古風なカメラワークを多用しており、かなり意図的にチープな画面作りに徹している様子。
ロビンちゃんが登場するあたりからその流れは加速、というか暴走し、悪夢に登場する怪物のごとく異形の者に変貌し、ロボコンやヒロシを蹂躙するロビンちゃんの姿に爆笑。しかしこれでいいのか土屋希乃さん。今後のフィルモグラフィに本作が刻まれることを考えると、ちょっと気の毒に思ってしまいました。脚本の浦沢義雄さんももう少し手加減してあげて…。
なお本作は、コロナウイルス感染拡大の混乱の中で撮影しているため、出演者の制作時のコメントを読むとその苦労が垣間見えて、色々と感慨深いものがあります。例えば本作は全てアフレコで撮影しているということで、ヒロシ役の屋鋪琥三郎君などは微妙に口の動きと台詞が合っていないところがあって(でも力演が光っていた)、それが画面のチープさを一層増すことになっています。しかし、これも感染対策の一環として急遽採用された手法とのこと。このように現場で創意工夫しながら作り上げた作品として、今後の映画制作の資料としても価値ある一作となりました。