「迫力満点の演技は鑑賞推奨。だが、、」護られなかった者たちへ zem_movie_reviewさんの映画レビュー(感想・評価)
迫力満点の演技は鑑賞推奨。だが、、
原作は全く知りません。作家さんも存じないです。という前提でイオンシネマの試写会にて鑑賞。
東日本大震災の塩釜辺りの架空の土地が主要舞台。震災被害からの生活再建に生活保護にまつわる諸問題を絡めた作品でした。 観終わって気付いたのですが、悪人(犯罪者ではない)は誰一人登場しなかったよなあ。と。
個人個人(立場や状況、条件)によるズレ具合から社会的整合性を欠いてしまう不条理さを上手に描いています。そこを役者さんの素晴らしい演技でなされますので引き込まれました。特に阿部寛、佐藤健には凄みで溢れています。倍賞美津子はもろに東北のおばちゃん、あーこんな人も結構いたなあ、でした。永山瑛太の気弱だけど芯はしっかりもっている人物の表現などなど、みんな素晴らしくてこれだけで満足できる作品でした。役者がいいとここまでいい映画になるんですねえ、と改めて感じます。 それからキレイにフラグ回収していく気持ちよさと意外過ぎる結末には爽快感すら覚えました。
しかし、とある場面に映っちゃダメなモノがばっちり映り込んでいる(恐らく霊的ななにかではない)とか、安っぽい説教が唐突にやってきたりするところは白けました。また、震災時の人間関係のすれ違いと10年後のそれがほとんど活きていないことには疑問をもちました。
惜しい、残念なところもあるのですが、いい映画だったと思います。
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