「もうそろそろ」護られなかった者たちへ 藤崎修次さんの映画レビュー(感想・評価)
もうそろそろ
個人的には3・11を素材にした商業映画は終わりにした方がいいのではと思っている。
確かに風化させてはならないのだろうし、今後の教訓とすべき事も多く残したのだろうが、そういったものは今後は報道やドキュメンタリーを通じてで良いと思う。
当事者達もいつまでも立ち止まっていられないだろう。
さて、本作についてだが、まず清原果耶の配役に疑問符。製作のアミューズの現在イチオシなのは分かるが、一方で朝ドラのヒロインを務めながら連続殺人犯を演じさせるというのはどうなのか? しかも、まだ19歳なんだから、まだしばらくは汚れ役はさせる必要はないのでは? 少し、焦り過ぎなのでは?
この作品、主役は佐藤健なのだが、真の主役は倍賞美津子。
実際、全ての出来事が彼女をきっかけにして展開する。
大ベテランには失礼ながら、華を打ち消して生活困窮者の役など務まるのかと思っていたがしっかりと表現出来ていた。
もう一つの作品テーマである生活保護の申請実態についての描き方は丁寧で良かったと思う。言わば、タブーの題材の実相を伝えるというのはなかなか難しいとは思うが、ありのままを伝えようという感じが見えて好評価。
サスペンスの面とヒューマンドラマの側面が今一つ上手く絡み合っていない印象があったのは、原作というより脚本の問題なのかな? という感想を抱いた一本。
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脇 寛美さんのコメント
2021年11月4日
歴史的事件はドキュメンタリー、ノンフィクションいずれでも取り上げ続けていいと思います。その瞬間でも後になっても関わるスタンスによって受け止めかたが変わっていくので。捉え方が酷ければ自然淘汰されると思います。大事なのはそんな事件があったことを忘れないことかと。