「正義の反対は正義である」護られなかった者たちへ 映画野郎officialさんの映画レビュー(感想・評価)
正義の反対は正義である
ただの殺人サスペンスでも、単純に社会問題を伝える映画でもない。現代の居た堪れない社会をリアルに描いている。
誰も悪いわけではなく、みんな誰かのためになりたいと思っていても、歯車が噛み合わず理想通りにいかない世の中。とても難しい問題だ。
それでも、行き場のない想いも押し殺さず声を上げることが大事だというメッセージが込められている。
みんなつらい過去を背負っていたり、苦しい現実を抱えている。それでも寄り添って生きていくしかない。
死んでいい人なんて誰もいない。
でもきっとどこかで誰かが見ていてくれる。世の中捨てたもんじゃない。
みんながそう信じて助け合えばきっとうまくいく。変わっていける。
そんな理想論でも夢物語でもない、現実的な希望を描く。
それぞれが誰を護り、誰を護れなかったか。殺人の真実を知ったとき胸が締め付けられる。
登場人物の誰に感情移入するだろうか。誰が正義で、誰が悪か。それは表裏一体。
その答えのない問いかけに考えさせられる作品。
阿部寛の堪える表情に熱くなった。
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