「「守られなかった」→「護られなかった」に意味がある」護られなかった者たちへ わたろーさんの映画レビュー(感想・評価)
「守られなかった」→「護られなかった」に意味がある
清原果耶ちゃん、今作で今年5本目ですよ。朝ドラのヒロインもやって。国民栄誉賞を差し上げます。
今作は、おかえりモネの主人公が震災を身体性をもって体験したらこっちの道に流れてたかもしれないという感じ。2つの作品は並行して語られることに意味がある感じ。
前半はサスペンスなんだけど、時間軸もいじりながら出すことがちょっと逆効果に思えて推進力にかけました。後半の社会ドラマになってからは、その提示されるイシューには関心が増していくものの…という感じ。悪くはないけどパンチ力はないです。
ネタバレはできるだけ廃したいと思ってるのですが、時間軸をいじったことでややこしくなってる部分が多いように思います。原作を読んだら解決できるのかもしれません。
たとえば、佐藤健の出所のタイミングがどこだったのかが明確に示されていないように思えた。もし1つ目の殺人事件の前だとしたら、模範囚じゃなければ○○が復讐を完遂しようとしたという点では納得できるが、じゃあ〇〇はなぜその仕事をしてるのかがわからない。周りは一生懸命やっている、それに引き換えあいつらは…までの時間がかかりすぎでないかなあ。逆に2つ目の殺人事件の後だとしたら…もう佐藤健が庇ってどうこうできる話ではない域に来てるんですよ。その行動を取ったとしても、〇〇はさらにやるよねと思う。あえてなぜその場所に戻ってくるのというところにも納得感が薄い。
林遣都演じる刑事役が、本当は都会でバリバリやりたかったことが田舎に来てしまったというフックを活かしきれてないところももったいない。
とはいえ、とはいえですよ。国民栄誉賞の清原果耶ちゃんの演技は今回もかましてますよ。しかも、今年のこれまでの4作とは違う一面を発揮してくれています。佐藤健と阿部寛は言うまでもなく。この二人が出てる作品はたいてい面白いです。
周りは泣いてるお客さん多かったけど、どこに泣いたんだろうか。自分が生活保護対象の人たちに何ができるかを考えているのだろうか。そうであると嬉しいし、安心して生活保護を受けられる環境になって欲しいですね。
守られなかったではなく護られなかったであることにしっかり意味があります。佐藤健が唯一笑う姿を見逃すな。