「主人公を女子高生にしてる時点でだいぶセンス無い」彼女はひとり 東鳩さんの映画レビュー(感想・評価)
主人公を女子高生にしてる時点でだいぶセンス無い
大学生の卒業製作で映画作れちゃうのはすごいと思うんですが、主人公を女子高生にしてる時点でだいぶセンス無いですね
幽霊が見えるというスキルが乗っても、映画監督志望の若者100人ぐらい集めたら、似た話を考える人は何人もいそうだから、やっぱりセンス無いです
それに、世にも奇妙な物語だったらオチにドンデン返しまで加えてきっちり25分で描くような話なのに、60分もかけてドンデン返し抜きって……何なのかなって思います
オチのある話じゃなくて、人間ドラマが描きたかったのかもしれません
が、そもそものテーマだとか、作者が観客に伝えたいメッセージみたいなのが本当に読み取れなくて、性格の悪い女子高生が60分間ずっと周囲に当たり散らしているだけという……
主人公は一番罪が重い父親にまず当たるべきだし、幽霊はまず父親に見えるべきだし、最後、主人公を助けるのは絶対に女性教師じゃないです
ラストに5番手ぐらいの脇役の活躍なんて、マジどうでもいいです
そもそも、生徒と不純な関係を持っている女性教師が主人公に対しては至極真っ当に意見するのが解せないです
写真をばらまいた主人公を自殺に見せかけて逆に突き落とすぐらいやるなら分かります
でも、そうはならない
キャラクター造形が薄っぺらく、人物相関図の配置が曖昧なんじゃないかと
そういえば幼なじみの恋人役女子生徒も薄っぺらかったですね
生徒と教師が禁断の愛に手を染める理由が「優しかったから」とか、セリフも相当薄っぺらいです
あとシーンとシーンの繋がりに脈絡が無いところが多すぎる
ご都合であっちこっちにシーン展開しすぎです
……細かいところはもうキリがないので大きいところに戻りますが
主人公が幽霊見えることと幼なじみに嫌がらせすることの因果関係は無いですよね
関係ある前提で話を進められてますけど、無理矢理こじつけすぎです
チクった幼なじみが悪いわけではなく、父親が圧倒的に悪いです
それを幼なじみへの復讐話にするから主人公が小物になって話自体がちっぽけになるんです
設定も、6年前に死んだなら、なんで6年後の今が映画になってるの?
その6年間は一切何も無かったの? 幽霊は出なかったの?
主人公は幼なじみの弱みを握るまで待ってたの?
幽霊が見えても頭痛するときとしないときの違いは?
幽霊が見えるけど頭痛以外に呪われたり明らかな害が無いなら自殺する必要なくない?
6年間は幽霊に成仏してもらうような行動を起こさなかったの?
色々と設定がゆるゆる過ぎて、まず頭に入ってこないんですよ
設定が緩すぎますし、自主映画によくある露悪的で、テーマもメッセージもカタルシスも無い映画は本当にうんざりです……
と思っていたら、舞台挨拶の予定に黒沢清の名前があって、ちょっと驚きました
どうやら黒沢清のお弟子さんみたいですね
東京芸術大学出身なら映画界のスーパーエリートじゃないですか
……だったらなおのことうんざりですわ
黒沢清を東京芸術大学の教授に雇って、それで育てられたエリートによって作られた自主映画がこのレベルなら邦画はもう無理です
韓国から指導者を連れてきた方が絶対いいです
税金の無駄遣いですし、黒沢清には映画産業を背負って立てる後進を育てられるわけありません