中村屋酒店の兄弟のレビュー・感想・評価
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弟帰る
U-NEXTで鑑賞
白磯大知監督作品脚本作品初鑑賞
粗筋
東京に住んでいる弟がいきなり実家に戻ってくる話
兄は親の家業を継いで酒屋を営んでいる
あんなに口うるさかった母は認知症で突然悲鳴を上げるなどすっかり衰えていた
弟は結婚するのだという
30分くらいまでが短編
45分くらいになると中編らしい
自然主義?
質素な作品
はじめは淡々と話が進む
母が亡くなり喪服姿で店の前で煙草を吸う兄弟
弟が実家に戻ってきた本当の訳を知り証拠隠滅を図った兄
実家を出て再び上京?する弟役の藤原季節のなんとも言えない表情は高く評価したい
見た目は地味だけど美味しいチーズケーキを食べてるよう
そんな感じかな
地元でも酒屋はすっかりなくなった
スーパーやコンビニでも酒を扱うようになりそれでも足りないなら「やまや」がある
酒屋はヤマザキショップとして生き残る他ないのかもしれない
配役
中村屋酒店の兄の中村和馬に藤原季節
中村屋酒店の弟の中村弘文に長尾卓磨
兄弟の絶妙な距離感が生む優しさ
あぁ、好きだわーこの作品。
自身が仲が悪くない兄弟(姉妹でも、兄妹でも、姉弟でも)であれば響くんじゃないかなぁ?親ではない、対等のようでそうじゃない、べったりじゃないけど、周りに漂うような寄り添い感。あー、これこれって感じでした。この空気感が絶妙すぎて自分を見てるみたいでした。久しぶりに会う感じも良かったなぁ。
あくまで家族の物語にフォーカスしたことで、なんのことはないエピソードでも深く染み入るものになり、なかなかのイベントの結末に説得力生んでると思います。
藤原さん目当ての鑑賞でしたが拾い物でした。白磯さん監督の次回作楽しみですし、本作は短編でしたが、長編として改めて観たいですね。愛すべきこの兄弟の次を観たいです。
幸せって何?
東京のがいいんだよ。
挑戦的なショートムービーです。たった45分なのに開始数分間は音声のみのラジオドラマ形式になっていて、暗いスクリーンに向かって想像を膨らませながらめちゃめちゃ集中しました。ここはスピンオフとなってますが、どちらかと言うとプロローグの方がしっくりくるかなと思います。
田舎の酒屋を継いだ兄の弘文と東京から突然帰省した弟の和馬。大切な人から忘れ去られた優しすぎる弘文。一方で要領がよく好きに生きる和馬。弘文の内に秘めた憎しみにも似た嫉妬心を和馬の無神経さが静かに逆撫でしてゆく。ものすごくリアルな兄弟の描写だと思った。
どちらの気持ちも理解できるし、どちらの気持ちも理解できない。そしてどこか不自然な和馬の違和感の正体が明かされた時。最後まで弘文は「お兄ちゃん」でした。表情1つ1つ。言葉1つ1つ。丁寧に演じた長尾琢磨と藤原季節が素晴らしかった。
45分とは到底思えないほど重厚で、深くて、何気なくて、温かくて、無情な物語でした。白磯大知監督が96年生まれと知って驚いています。天才ですか。今後も期待しています。
体脂肪削ぎ落としたバディムービー
今は更地となってしまった在りし日の酒店とそこで家業を営む兄弟の複雑な家族愛
鑑賞後に速攻でパンフを買いに行きました。ロケ地である中村屋酒店は今は更地になってしまったとのことで、そのコメントを読みまた観たくなりました。
まったく知識のない状態で行ったのですが、この映画の撮影を行った方はKing Gnuの白日を撮った光岡兵庫氏とのことです。そんな点でもまた観たくなりました。
もう正直に申し上げても良いですか?
自分の中でこの作品はドライブ・マイ・カーを超えました。
涙が止まらなくなるような作品とはまた違いますが、これだけうまく兄弟の微妙な距離感を表した作品はなかなか類を見ないと思います。
あと認知症を発症したおかんと2人の関係性も良かった。
監督さんおいくつ?と調べてみた結果、本業が俳優さんの1996年生まれと聞き、リアルに腰抜かしました。
しかも兼脚本もですが、独学だそうで。
マジかよ。
て言うかマジかよ。
まだ全国で20館くらいしか上映していないらしいです。
私個人としては、ドライブ〜が終わったら全館この作品に切り替えても良いんじゃね?とすら思ってます。
いや、ほんとに。
帰れる場所があるって、素敵だな。
しぶい!!
期待を上回る短編作品と言える。
わかんねえよ、お前には。
本日、ラジオドラマ~本編~短編ドキュメンタリーの順で上映し、そのあとトークイベントあり。
"とある田舎町、潰れかけの「中村屋酒店」という個人商店がありました。店には、弘文という兄と、和馬という弟の兄弟がいました。" ・・・・・もうこれだけで、物語の大半が出来上がっているようなものだ。
このチラシを目にした時から観たくてしょうがなかった。なぜか?それは、この物語の何割かは、僕自身の物語だから。田舎の酒屋を継いだ兄と、その弟の僕。シンパシーを感じずにはいられなかった。
継ぐことが宿命だった兄は、弘文のように言葉少なく、それでいておおかたのことはわかっている。
外に出た僕は、気まぐれに帰省しては、兄の苦労も知らずに「変わってねえな」と愛想を振りまく。
まんま、うちの兄弟だ。(人に後ろ指をさされるような罪は犯してないけど)。おそらく兄は何かにつけ要領のよかった僕に嫉妬してたはずだ。損な役回りばかりの自分が嫌だったはずだ。だけどそれを口にしない。みんなまとめて呑み込んでおく。そんな兄だった。そして僕は、それをわかっていた。自分でもそれが狡いことだということも。
落語「鼠穴」でもそうだが、人にも自分にも厳しい堅実な兄と、人にも自分にも甘いお気楽な弟っていう図式は、世の中のデフォルトなのだろうか。そして、兄の思いに気付いたのち、それを燃料に前に進もうとする弟っていうのも、そうなのだろうか。
映画が短い、という意見もある。だけど、この短さだからこそ、感情の合間を駆け抜けていって、そのあとに残像のように残るシルエットもある。そう、いま、こいつ何考えている?という和馬のドアップが、脳裏に焼き付いているように。
釣りに行こう
どこぞの地方の町で父親亡き後、家業の中村屋酒店を継ぐと共に認知症の母親の面倒をみる長男と、数年ぶりに東京から帰郷した弟の話。
弟が上京する前の家族4人の様子を描いたスピンオフラジオドラマの音声から上映スタート。
映画としては、弟が電車に乗り帰って来るところから始まっていく。
既に長男をそれと認識出来ない母親だけど、よく怒られていた弟は何とか認識されるという状況に対面した弟。
突然帰って来た理由を問われ言いあぐねる様子から、家を売ろうとか言い始めるのかと思ったら…。
兄は兄で抱えるものがあり、そして弟には秘密があり、それを互いに察した後の、敢えて触れない兄弟の大人の思いやりがムズムズっと響いてくる。
最後は明確には見せなかったけれど、ここまで来たら後は想像つくし、ダレたり安っぽくなるより、ここで切ったのはなかなか良かったんじゃないかなと感じた。
地方と都会と家族の絆
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