劇場公開日 2020年11月20日

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「個々に光るものを感じつつもあまりハマらず、初インディーズでいい経験に」おろかもの たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0個々に光るものを感じつつもあまりハマらず、初インディーズでいい経験に

2021年2月7日
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鑑賞方法:映画館

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悲しい

舞台挨拶付きで鑑賞。おかげで汲み取れたところも多かったので、割とハマらなかったのかも。
不倫相手と妹が手を組み仕掛けるのは、結婚式の妨害。角度さえ違うものの、兄に対しての憎悪を武器に画策する。 そこから見えるのは、「不倫相手」という立場の人間味と、愛への問い。ニュースならば悪者として抹殺しておしまいとする、そんな人も「人間」であることを忘れてしまいがちなのだ。不倫相手の美紗から醸し出されるのは、人間として決して強いわけではない哀愁。洋子の持つ観察力から浮かび上がる姿が鋭くて痛い。そんな洋子だが、兄と二人三脚で駆け抜けて来たはずなのに、クズに堕ちた姿に呆れている。かといって、自分にこれといった人間性を感じられない。「真人間」を目指すくらいなのだから。そうした芯の無さが混沌とした感情に、蹴りひとつ付けられなくなっている。諸々映し出される息苦しさと小さな賛美を感じるのだが、チャプターの終わりがスパッといくので、なんだか咀嚼できないまま流れていくことが多かった。引き込まれていれば、もっとジーンと響くような気がしたが、そこが惜しかった。ただ、あのラストに不思議と正解を感じている。
インディーズの映画をちゃんと観たのは、何気に初めてだったかも。個々のキャラがしっかりと際立っていて、屈折しているはずの世界を受け入れられた。ある意味、これはこれでいい経験。

たいよーさん。