「お腹も、心もいっぱい、ホッコリ💛」劇場版 きのう何食べた? bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
お腹も、心もいっぱい、ホッコリ💛
オッサンズ・ラブをテーマにした、人気ドラマの映画化。
オジサンと言っては失礼な、シロさんとケンジのカッコいい男2人の同棲生活。随所に笑いを交えながら、決して厭らしさは無く、性別を超えて、心から大切に想い合う2人の様子が、作品の端々から伝わり、観る人をホッコリと包んでくれる。
また、題名の通り、この作品のもう一つの楽しみは、シロさんが作る、美味しそうな料理の数々。次々と紹介され、食事シーンは、思わず唾を呑み込んでしまう。出汁が染み込んだブリ大根やリンゴの甘露煮のトーストは、ホント美味しそうだった。
そして、何といっても、ケンジ役の内野聖陽の演技が光る。歩き方、座り方、食べ方、何気ない仕草が、女性以上の女性らしさを醸し出している。シロさんを思う乙女心が、よく伝わる名演技。
そして、シロさん役の西島秀俊も、堅物な男であり、ケンジを包み込む温かさが、何とも言えず頼もしく見える。でも、内野に迫られた時に、西島が避けるシーンは、演技ではなかったような気がします(笑)。
最近まで、2人とも朝ドラで、全く違う役柄で、そのギャップもまた見もの。また、脇を固める山本耕史やマキタスポーツ、田中美佐子もいい味出して、笑いを誘ってくれる。
ケンジの母親や姉妹が、ケンジのトランスジェンダーを理解し、ガールズトークに花を咲かせるシーンは、観ている自分も心が癒され、救われるシーンであった。
トランス・ジェンダーの問題については、世間でも随分と理解が広まってきたが、きっと、まだまだ超えられないハードルも多いのだろう。しかし、そうした負な部分も、シロさんとケンジのように、互いに信じ合うことで、堂々と乗り切っていく2人の姿に、エールを送りたくなり、お腹も心もいっぱいになる作品だ。
トランスジェンダーは性同一性障害を含む、生まれた時に割り振られた性別と異なる性別を生きる人たちのことで、ケンジやシロさんはゲイなのでトランスジェンダーではありません。LGBTQ問題ではあると思います。