「原作を知っているか近現代の文学作品の知識がないときつい…」映画 文豪ストレイドッグス BEAST yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
原作を知っているか近現代の文学作品の知識がないときつい…
今年10本目(合計286本目/今月10本目)。
この作品は一見すると近代の有名な近現代(明治以降)の文学作品やその著者に関する内容かなと思いきや、実は原作アニメ等があるようです。
ただ、それを知らなくても、扱っている内容の中で登場するその有名な小説などの著者などは実在する人物なので、そこ(近現代の国語)の知識があればなんとかなるかなというところです。
正直、両方とも知識がないとどうにもこうにも詰まる展開になってしまいます。
で、内容なのですが、うーんこれはどうだろう…というところです。私は後者(近現代の国語の歴史を知っている)類型で見たのですが、それで補えるのは4割くらい。原作アニメ等を知っているのがまぁほぼほぼ前提の映画なのかなと思います。
ただ、実在した各人物の描写についても、概ねその人柄の描写(特に、宮沢賢治の方の描写)などはほぼほぼ正しいので、まぁ原作アニメありとはいっても、それら知識(近現代の国語の文学作品等の発展の過程)を知っていれば補えるところです。
内容はそれをベースにして色々必殺技を使ったり何だのという内容で、内容的にも結構ひねりは入っているのですが、逆に登場人物の「下敷き」となる人物が実在した人物なので、「ある程度」展開が読めてしまうところはあり(その実在した人物の著作などを知っていれば)、そこはもう判断分かれるかなと思います。
まぁ、究極論で言えば「原作アニメ等を知っている方へのサービス映画」と見るのが妥当で、その前提においては(私は知りませんが)評価はそこそこつくんでしょう。
そういった「謎解き」というか、「どういう展開で誰が悪役か」等を書き始めると一気にネタバレの範囲になってしまい(かつ、実際の著作等がヒントになってしまう)、そこはもう書けないかなぁというところです。
第一には「原作アニメ等を知っている方」、第二には「近現代の文学作品の歴史を知っているか興味がある方、前提知識がある方」というターゲット層に思え(なお、私が見に行ったときは20代女性の方が大半)、そのどちらにひっかからないとちょっと追っていくのがきついです。
採点に関しては、この映画は「特異な減点対象」が2つあることを考慮しました。
--------------------------------------------------
(減点0.3)どの映画館でも、映画館独自か、「新しい映画鑑賞のマナー」といった感じで「マスクをしましょう」だの何だの流れるのですが、この映画はそれとは別に、始まる前に登場人物がマナーを説明するところがあります(大半は常識な内容)。
ただ、その中で「スマホの電源を切れ」は気になりました。ご存じの通り、スマホのCOCOAはマナーモードでも動いていないと意味がないからです。もっとも、COCOAもいろいろツッコミが言われているアプリではありますが、日本では唯一の「国の公式アプリ」の扱いであり、それを無視したり否定するような内容はどうなのか…(間接的に加担していると言われても仕方がない)という印象です。
※ COCOA自体がコロナ問題勃発後、6か月ほどしてリリースされた事情もあるので、映画の作成の関係で、2020年1月や2月なら「間に合わなかった」というのはありえますが、2022年1月でそれはないだろう…というところです。
※ tohoシネマズでも「電源はマナーモードにして迷惑がかからないようにしてね」で「マナーモードに」の扱いで「電源を切れ」とは一言も言っていないのに、映画の中で「電源を切れ」というマナー講座が始まるので、何が優先なのかも危ういです。
(減点0.1)上記の通り、この作品は元がアニメ作品等「原作あり」で、有名な文学作者が(架空の)現代にいたら…という内容です。つまり、主人公という主人公は存在せず(一通りに定まらない)、多数の「実在する人物」が登場します。
にもかかわらず、「ら抜き表現」「現代では許容はされるが、厳密には誤用な表現」など、「文学作者でそれはやらないだろう」というような表現が結構登場し、「それでいいの…?」というのは気になりました。
※ 「ら抜き表現」程度は一般には減点対象にしませんが、「作品の主人公・登場人物がこのような特殊な設定である」ということを考慮してのものです。
--------------------------------------------------