「英国統治下の香港の埃っぽさを忠実に再現した質実剛健なアクションドラマ」追龍 よねさんの映画レビュー(感想・評価)
英国統治下の香港の埃っぽさを忠実に再現した質実剛健なアクションドラマ
60年代英国統治下の香港に仲間を引き連れてやって来たホーは街のチンピラグループの抗争に思いつきで参加したことから香港警察のロクと親しくなる。ロクは裏で麻薬の密売に手を染めていて、ホーに九龍での取引を任せると才能を発揮して裏社会で頭角を現すが、複雑な裏社会はやがてホーとロクに牙を剝く。
舞台が60〜70年代なので、サントラがずっと真っ黒けのソウルという香港映画っぽくないサウンドが実に渋い。アホみたいに埃っぽい当時の香港を贅沢なセット撮影とCGで再現していてノスタルジーを纏った美しい映像になっています。家族愛と友情を厚めに塗りたくったバタートーストのように濃厚なドラマはドニー・イェンとアンディ・ラウ他のベテラン演技陣の存在感を引き立てて80〜90年代に山ほど観た香港ノワールからケレン味を抑えた感じの渋い物語に仕上がっています。
ドニーといえば切れ味鋭いスタイリッシュなフルコンタクト格闘が名刺代わりですが、本作ではそれを一切封印して雑魚い田舎者がのし上がっていくサクセスストーリーを格調高く演じていて、ここにきて更に高次元のスターダムに上り詰めたなと感慨深いです。
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