「青春時代の仲間、友人関係は「無垢」ではない」青くて痛くて脆い コバヤシ・モユさんの映画レビュー(感想・評価)
青春時代の仲間、友人関係は「無垢」ではない
観た人の年齢によって、印象が違う映画だと思った。
つまり、「観た人自身の人生」に照らす内容が多い映画だということ。
映画自体の設定で言えば、主役の二人は20代そこそこの大学生。
本人なりに色々あった20年だとは思うが、社会にも出ていなくて、
ある程度、互いの家庭も含め「同じようなクラス」の人たちとだけ、
付き合っている時代だ。
20代の男性は、同年代の女性に比べて、
精神的に幼い(まぁ、この先もずっとそうなのかもしれないがw)。
で、男性たちも、それがわかっているだけに背伸びする、頑張ろうとする。
「承認欲求」は流行りのキーワードかもだが、昔から20代男子はその塊だ。
青春時代の仲間、友人はけっして「無垢」ではない。
それは大人のノスタルジーが引き出す幻想だ。
当事者たちにとって仲間、友人は「嫉妬の対象」であり「恋愛の対象」でもある。
オジサン、オバサンは思い出してほしい。
友人間での「彼氏、彼女の奪い合い」は、学生時代がもっとも盛んではなかったか?
そんな不安定で複雑な人間関係が、青春時代の仲間、友人だと思う。
それらを表現しているのが、この映画なのだ。
青春時代の光と影。大人になると「影」の部分は、心の奥底にしまっている。
それを引っ張り出されるような気がするので、この映画は心がモゾモゾする。
仲間や友人が「嫉妬の対象」「恋愛の対象」であることは、20代で終わることはなく、
この先の人生にも続く、言わば人の性。
それは(この映画の展開より)もっと醜く、面倒な状況も生み出すんだよな・・そんなことを大人になってしまった自分は、考えてしまった。
ラストシーンは、若さに託した希望なのかな。
「まだ挽回できるよ、若いんだから」そんなメッセージを感じた。
良い映画です。