「僕も、世の中に暴力は要らないと思いますっ‼️」青くて痛くて脆い kazzさんの映画レビュー(感想・評価)
僕も、世の中に暴力は要らないと思いますっ‼️
久しぶりに劇場に行けたので、杉咲花を見ようとこの映画を観賞。
なかなかのサスペンスだった。
冒頭の方で、杉咲花が吉沢亮に野望を持つことについて語りかけるシーン。歩く二人を平行移動で追っていたカメラが、杉咲が横断歩道にさしかかると次第に視点が上がっていき、白だけを踏んで歩く杉咲と後をついて行く吉沢の二人を俯瞰で見せる。何気ない演出だが、まだサスペンスに転じる予兆すら見せていないこの段階で、期待感を刺激する。
さて、物語はザックリ言うと「逆怨み復習劇」だと思う。
主人公楓(吉沢亮)によってストーリーが語られるが、そこに虚偽がありどんでん返しとなる。
これは原作小説の構成なんだろう(未読)。
一人称で語られ、語り手が犯人だったというアメリカのサスペンス小説で見られる仕掛けだが、楓の行動をちゃんと見せて、犯行を隠すのではなく動機を隠すというアレンジが良い。
田端楓は、主体性に欠ける男だ。この男にはやりたいことなどなかった。
秋好寿乃(杉咲花)に興味をもち、流されて秘密結社の結成に協力した。
寿乃にとって自分が一番の男だと思い込んでいたのに、見事に覆され、裏切られた、騙されたという妄想に支配されるに至る。
物語としては現実場離れしていて、見方によってはシラケてしまうかもしれない。
吉沢亮が二枚目過ぎて、他の女子が放っておかないだろうから、一途に寿乃を怨み続けてなんかいないだろうと思ってしまう。
杉咲花、柄本佑、その他のキャラクターたちにはリアリティがあって、演者たちも役柄に合っていたように思う。
特に光石研がイヤな役だが、相変わらず見事だった。
そして、映画は、自分の愚かさから大切な人を傷つけてしまい、大事な関係を壊してしまったことに気付いた楓が、最後に廻ってきた懺悔のチャンスにかけるところで終わる。
タイトルに表されている若者ならではの罪と罰。若いうちは取り戻せる、と思いたい。
kazzさん 共感をありがとうございますm(_ _)m!横断歩道を俯瞰で見るシーンは この監督さんらしいなと思いました。以前、妖怪人間ベムを観た時、ベムと刑事が並んで歩くシーンがあり、かたや正体ヲ知られては困るベムと刑事が暗闇の中カメラに向かって遠くから次第に近いて来るのですが、その緊張感が素晴らしくて その監督さんの作品という事で期待してましたが、期待通りのカメラワークてした!照明も見事だと思います。kazzさんのご推察のように小説は楓の側からの一人称なので 映画よりもずっと後でドンデン返しになるんですが、私は映画の描き方が良かったです!私はラストが希望の見える終わり方で好きです!