「青くて痛いけど、脆くなくて良かった」青くて痛くて脆い やきすこぶさんの映画レビュー(感想・評価)
青くて痛いけど、脆くなくて良かった
原作未読の為、予告編のイメージで誰か死ぬんじゃないかと心配しながら鑑賞していたんだけど、違っていてよかったです。
あと、住野さん『キミスイ』のイメージが有るから、どこかで話を捻ってくるかと思ったけど意外とストレートでした。
それでですね、結論から先に言うとこの映画、良かったと思うんです。
それは何故か。青くて痛かったけど、最後脆く崩れる直前で踏み止まったから。
私は最後の終わり方、好き。
青くて痛かったけど、ちゃんと自分のした行為に向き合って、覚悟を持って謝る行動に移したから。
許してもらえるかなんて後の問題、もしかしたら姿の似ている別人かも、でもとにかくそういう気持ちになれた事が重要だと思うんです。
そういう気持ちになれた事こそが成長で、この映画を成長物語と考えたら良い終わり方なんじゃないかと。
もう少し楓の事を考えてみましょうか。
中盤の彼、確かにキモかったですね。
ただ、彼がキモいだけの男なのだとしたら、あれだけ秋好以外にも迷惑を掛けたのだし、後輩の川原から見捨てられてもおかしくないと思うんです。
でも、川原は連絡をくれた。きっと楓の中の良い部分を見てくれていたんだと思います。
モアイ立ち上げの頃の楓は、単純に秋好との時間が楽しかったのかもしれません。
そんな中で見せたフリースクールで瑞希と接する時の彼の姿、積極的に手を差し伸べるわけではないが、押し付けがましくなく気持ちに寄り添う。
人に自然と寄り添えるのって、凄い事じゃないですか。これ、秋好と会う前から持っていた彼の資質だと思うんです。
川原も彼のそういう所に惹かれていたんだと思う。
そしてその良さを、騒ぎを起こした後に自分を見つめ直し、取り戻す事が出来た。
そんな彼だから、川原も連絡してきたんだと思うんですよ。
一方の秋好。彼女は楓の目線でしか描かれてないんですよね。
だから想像になっちゃうけど、楓が思っているより繊細で、楓が思い込んでる程変わってない気がするんだけど、どうなんでしょう。
もっとも、秋好がどんな人物かっていうのは、実はこの映画にとって重要じゃないのかもしれませんが。
この映画、想像していたより面白い成長物語でした。