劇場公開日 2020年8月28日

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「まさか『何者』(2016)以上の「身もだえ映画」に出会うとは…。」青くて痛くて脆い yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0まさか『何者』(2016)以上の「身もだえ映画」に出会うとは…。

2020年9月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

『君の膵臓を食べたい』の原作は読了しつつも映画は未見、本作の方は原作未読のまま先に作品を鑑賞するという、ややねじ曲がった観客による感想です。結論から先に言うと、鑑賞中はずっと画面に見入っていました。しかし結末にさしかかるにつれ、座席で身もだえしそうになることしばしば…。こういう、「青くて痛い」妄想、するわー、と…。

主人公田端楓を演じる主演の吉沢亮さんは『一度死んでみた』(2020)では目立たない秘書・松岡を好演していましたが、本作での吉沢さんはその松岡が大学生だったら…、と想像させるような雰囲気を漂わせています。もう一人の主人公、秋好寿乃を演じる杉咲花さんの役どころは、どうしても『君の膵臓を食べたい』の山内咲良と重なってしまいますが、山内咲良以上の天真爛漫さに、これは田端でなくても戸惑うだろうな、と思いつつも、人を惹き付けるカリスマ性も同時に備えていて、この二つの顔の演じ分けが見事でした。

物語の主筋は、途方もない田端の企みを除いては、大学サークルあるあるだなー、と思える部分が多く、田端がサークル活動に感じる充実も、嫉妬や疑念といったドロドロとした感情も容易に感情移入できます。その一方で、これだけ情報技術が発達したことで、多くの人を巻き込むような企みも易々と遂行できてしまうという、現代の恐ろしさも同時に実感しました。

映像は一貫して美麗なのですが、意図的に画面を歪ませるといった効果がやや前面に出すぎている傾向がなきにしもあらず…。

これから原作を読んで、映画版との違いを比較するのが楽しみです。

yui