「ずっしり、きました。」空白 こまママさんの映画レビュー(感想・評価)
ずっしり、きました。
公開中はタイミングが合わず、家でもなかなかじっくり観られる時間がなく、昨日ようやく観られました。
伊東葵ちゃんを初めて認識したのは、『湯を沸かすほどの熱い愛』だったかな。まだ全然子供だったけど、すごく存在感のある子でしたね。
この『空白』でも、出番は少ないのにすごく印象的だった。ていうか花音の最期が衝撃的過ぎて声出ちゃった(家で良かった)。
「父の狂気が暴走」っていうコピーがあったけど、充の言動を理解できてしまう私は狂気の人なんだろうか?
あんな乱暴な人は大嫌いだけど、表現方法がそうなだけで、娘を見ていなかった自分への後悔と娘が悪者のように言われる悔しさで逆恨みしちゃうのはわかるし、殴りはしたけど殺すまではしないし、陰でなにかするんじゃなくちゃんと姿を見せてるし、情報操作するメディアや誹謗中傷を撒き散らす正義もどきの匿名犯罪者に比べたら、充の方が全然いい。
店長も、基本的にはいい人なんだろうけど。
でも商品を持ってお店を出ないと万引きは成立しないんだよ?花音は商品を手に取っただけでカバンやポケットに入れることすらしてないのに、いきなり手首を掴んで引きずってくのはそっちの方が問題。私だったら逆に訴えてやる。
でも、そのつもりがあったから花音は逃げたんだよね。。
そしてきっといつもは大人しい店長が、万引きをどうにかしなきゃって思ってたところにそれっぽい子が現れて、思い切って捕まえようと行動したら逃げられて、引くに引けなくなったというよりは、行動している自分に興奮してるように見えた。その結果あそこまで追い詰めることになって。。
充よりも店長の方に狂気を感じたのは私だけ?
お弁当屋さんへのキレ方も怖いし。その後電話し直したのはエラかったけど。
救われないのは、楓。
元々充は楓を、許さないとかじゃなく花音の死に関わってるとすら思っていなかったんでしょ。
確か「関係ない」とか言ってた気がするし。
充にとっては本当に関係ない人に対するいつもの態度だったのが、楓にとっては責められているように感じてしまった。
充がちゃんと自分の思いを伝えることのできる人だったら起こらなかった、悲劇。
彼女の死と緑の言葉は、充が変わるきっかけにはなったけど、その対価としてはちょっと、重過ぎるよね。。
それに対してダンプの運転手はその後全く現れないのも、ほんといろんな人がいるよなぁと思わされた。
「全員被害者・全員加害者」っていうコピーは、ちょっと間違ってますね。
情報操作するメディアと、誹謗中傷を撒き散らす正義もどきの匿名犯罪者は、加害者でしかないし。
学校も、「いじめが見つかったらどうするんだ?」って言うような教師は、子供たちにとって完全に加害者。
偽善者は問題ないけど、自分にとってのいいことを人に押し付けたり、そうしない人を悪く言ったりし始めたらもう加害者。
この映画の中で一番「狂気」感じたのは、実は草加部さんでした。。