「テーマから逃げた安易な感動ラストが残念」空白 東鳩さんの映画レビュー(感想・評価)
テーマから逃げた安易な感動ラストが残念
評判がいいようなので観ましたが、ちと残念な作品ですね
社会的なテーマを重厚に描いて、最後に感動して泣かせるラストにすれば、日本アカデミー賞で総ナメでしょ?みたいな、すごく安易な作品に思えました
せめてテーマに結論出していれば許せるんですが、そこで結論出すことからは逃げてます
自分のしたことの責任は取らずに証拠隠滅して逃げた古田新太と一緒ですね
いやいや、こんな主人公が実は娘と通じてたとか、こんなとってつけたような感動ラストで泣かされてたまるかよって
スターサンズって、自民党批判かこんな安易な賞狙い映画しか作ってないですよね
今後はこの制作会社の映画は観ないでおこうと思います
この監督さんは所々良いシーンがあるんですけど、キャラクターの感情が繋がってないというか、感情がご都合で飛んでるんでそれが致命的にダメですね
松坂が娘に痴漢したんじゃないかという噂を知った古田はそこが一番知りたい情報のはずなのに、それがフワッと無くなってしまい、なぜか松坂に事故現場の再現とかやらせてましたけど、感情的には痴漢の真偽が明らかにならないと次の行動に移れないはずだし、こちらとして急にどうでもよい別な展開をされても興味が失せてしまいます
松坂が車に轢かれそうになってビビる、というシーンを監督がやりたかったんでしょうが、観客の興味はその前に古田の感情です
古田もこのタイミングで松坂に事故現場の再現をさせる理由がないはず
あと、藤原季節の役は最初に古田を嫌っていたし、また古田の理解者になる分岐点が描かれてないです
古田が手を怪我したぐらいで大変そうだから許そうレベルの嫌いでは無かったはずです
感動させよう、話を広げよう、派手なシーンをやろうのご都合でキャラの感情を不自然に操作するなんてもっての外です
そして、古田と松坂の感情に絞ってストーリーを描けばいいので、脇役の葛藤とか要らないです
しゅりのエピソード、藤原のエピソード、寺島しのぶのエピソードを描けば描くほど、話が散漫になります
ただ、寺島しのぶのキャラは面白いので、これはこれで一つの映画にすれば良かったと思いました
では、どうすればよかったというと、
万引きした証拠の化粧品は古田が隠滅
良心の呵責から自殺した野村真純の葬儀で母親に非難されると思いきや、改めて謝罪されたことで古田は自分の加害行為を悔い改めて改心する
古田は店が潰れて警備員してる松坂に謝罪
ここがラストシーンで綺麗に終われば良かったと思います
もちろん、社会的なテーマに作家として意見、結論づけていれば傑作になってました
主人公は自分の責任からは逃げて、作り手もテーマに対する意見・結論を言うことから逃げて、ストーリーにオチはつけなきゃいけないから、ポッと出のキャラに焼き鳥弁当美味かったとか言わせたり、ちょうど良いタイミングでしゅりが持ってきた娘の絵が自分の絵と同じ景色だったとか、安易な感動ラストはマジで終わってます