「圧力を受ける側にとってはひとつも救いはありません」空白 グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)
圧力を受ける側にとってはひとつも救いはありません
私が一番嫌いなパワハラ系の人の醜悪さと罪深さをとても分かりやすく教えてくれる映画でした。
①大声や威圧的な態度で相手を威嚇(心の奥底では自分の正当性に自信がなく、話し合いで解決するという選択肢を始めから放棄している人の典型)
②自分の手には負えない話だと本能的に察知すると、今はそれどころではないという雰囲気を出して、拒絶する(花音ちゃんの相談をはぐらかしたのはその典型)。会社でいつも忙しそうにして部下からみたら、相談しづらい雰囲気を出している人は大抵そのタイプです。後々トラブルに発展すると、何故俺に相談しなかったんだ、というズルい人、結構いませんか?
③相手が弱りきった時に、それまでどれだけ深い傷を負わせたのか、ということへの真摯な想像力は働かせることなく、〝俺だって好きでこんなことをしてるんじゃない〟みたいな理解者然とした態度を取る。
映画としては、ほんの少しは救いがあるかのように締めていましたが、鬱に追い込まれた元妻、常に萎縮することを強いられていた花音ちゃんのことを思うと、〝実は人間味のある頑固親父〟として受け止めてしまうことは絶対にできません。
寺島しのぶさん演じるクサカベさんの圧力も受けてしまう側の人にとっては明らかにパワハラでした。
死ぬよりも辛い日々を送り続けている子どものいるDV家庭が一体どれほどあって、どれほど水面化で苦しんでいるのか。
オレンジリボンの活動に参加したこともありますが、自分の無力さばかり感じています。
パワハラ親父本当に腹が立ちましたね。さすがの演技、恐怖すら感じます。
私なら、距離をとって無視しますが、家族ならそうは行かないですよね。。。
ただ、ちょっとだけ理解出来る部分もあって、完全悪にはなっておらず、自分も同じことが起きれば、そうなるのかもと思えてしまったところが、1番恐ろしいところです。
グレシャム様、①②③とも身近にいたのでものすごく共感します。私は「寺内貫太郎一家」の父親が嫌いです(笑)
女性ドライバーの母親も厳しすぎて苦手です。あの女性が事故を避けるのは難しかったと思うので、せめて母親だけは味方になってあげて「私も一緒に謝るから頑張ろう」と声を掛けていたら、ああいうことにはならなかったと思いました。
主人公のようなタイプの人には、話し合いとかまともな対話は難しいですね。何かの機会に自分で気づいてもらうしかないかと。この映画ではまだ救いの余地がある人間でしたが。年取ると更に頑固になり、他者への怒りは自分への刃になり、自滅していく人も多いですね。