「イルカの雲」空白 藤崎修次さんの映画レビュー(感想・評価)
イルカの雲
全編にわたって、どんよりと重たい空気が支配するスターサンズらしさ全開の作品。
親父、娘、元嫁、スーパー店長、スーパーのパートのおばさん、第1加害者、娘の担任、親父の舟の相棒・・・
登場人物が皆、生き方が不器用というか心に溜まったモヤモヤをどう処すべきか分からず右往左往して鬱々とした日々を過ごす。
それを象徴していたのが、主人公(古田新太)が法事帰りの車内でぽつりと発した「みんなどうやって折り合い付けてるんだろうな?」というセリフ。
そんな中、絵心に目覚めた親父が亡き娘が自分と同じ絵を描いていた事実を知り、遅ればせながらも気持ちが共有出来ていた瞬間があった事に気付けたラストシーンが救いだった。
尺が短く、それぞれの登場人物のバックボーンの描き出しがほとんど無かった割には心理描写が良く、ストーリーにのめり込む事が出来た。
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