「行き過ぎた大義が生む非寛容世界」空白 シネマディクトさんの映画レビュー(感想・評価)
行き過ぎた大義が生む非寛容世界
被害者家族と言う錦の御旗の下、加害者をどこまでも徹底的に追い込む、非寛容な日本の社会をグッサリと描く心理ドラマの傑作です。監督・脚本の吉田監督の人間洞察が深く、モンスター化した父親だけでなく、自分も被害者と言う意識が抜けない店長、偽善さが垣間見えるパートのおばちゃんなど、実在感あふれる登場人物の描き込みがすごいです。さらに、その絡み合いが緊迫感あふれていて、誰もが不幸になる息苦しいドラマだけど、きれいごとには終わらせず、ささやかな救いの芽がある幕切れも見事です。役者は古田新太は言うに及ばすですが、チャラ男役の藤原季節、出番が少ないながら気迫がこもった片岡礼子がよかったです。
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