劇場公開日 2021年9月23日

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「「空」の中の「白」こそが傷む心の空白を埋める」空白 momoさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「空」の中の「白」こそが傷む心の空白を埋める

2021年9月23日
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胸が痛い。こんなに痛みを伴う映画は他にない。
観客に心の痛みに立ち向かわせ、どうすぺきなのか考えさせせるような作品だ。
誰しもある日突然辛いことが起こる可能性はある。
そんな時に耐えられない辛さに対してどう受け止めて、どう消化するのか。
正解なんてないから、登場人物達はみなそれぞれの立場で苦悩する。
人の心はそう簡単に人の死を受け止めきれないものだから、家族の死が突然訪れた側も、死の原因を作った側もみんな苦しいのだ。
そんな中、そう来るか!
と思わせてくれるのが片岡礼子演ずる母親だ。
ハッ!とする。
答えはないけれども自分がこの立場でこう言えるのかが試される。
ポスターの古田新太の顔と松坂桃李の土下座の写真はこの作品をこれでもかと言うほど表現している。
寺島しのぶのスーパーの店員の正しさの押し売りがまた何が正しいのかなんて無いのだと考えさせる正しさの物差しにもなっていた。
娘がつけていたマニキュアは透明だと田畑智子の母親は気がついているところにドキッとさせられる。
年頃の娘のことをなにも分かっていない古田新太演ずる父親が描いた下手くそな絵は、心の空白を埋めるものなのだろう。
青い空に浮かぶ白いイルカ雲を死んだ娘も確かに見ていたのだ。

momo