「喪失と微かな希望」空白 まだまだぼのぼのさんの映画レビュー(感想・評価)
喪失と微かな希望
不運な交通事故により娘を亡くした父親の暴走と、その父により人生を崩壊させられていく一人の男を中心に、人の弱さや愚かさ、そして赦しを、吉田監督ならではの人物描写で描く物語。
吉田監督作品の中では、ユーモアやえぐみは抑えめで終始シリアスな空気感。それでも重苦しくなり過ぎないのはさすがです。
娘を失った哀しみと憤りを、憎しみと怒りとして発散させることでしか自身を保てない添田の行動で生まれる憎しみの連鎖。マスコミの過剰報道も拍車をかけて、更なる悲劇が生まれていく。皆が辛く苦しい時間が長く続く中で、少しずつ生まれていく希望や赦しが胸を打ちます。
人によって傷付けられるけれど、人によって救われる。相手を分かろうとすることや、自分と向き合うことで、人は変わっていく。
たくさんの喪失のあとでも、些細な言葉で救われる。
希望を感じるラスト、良かったです。
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