劇場公開日 2021年9月23日

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「一番悪いのはレジ袋有料化だろ?」空白 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0一番悪いのはレジ袋有料化だろ?

2021年9月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 「容器包装リサイクル法」(正式名称:容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律)。コンビニ等で毎回「レジ袋はご入り用でしょうか?」と、聞く方も聞かれるほうもうんざりする昨今。プラスチックごみなどの問題よりも、万引きが増えたというニュースほうに目を引かれてしまう。コンビニでもマイバッグ持参の客が増えているし、当然店側もバッグの中まではチェックしない。コロナ禍で貧困に喘ぐ人も多いので、今後ますます万引きは増えていくようにも思う。

 罪、偽り、赦しといったテーマの通り、誰にでも起こりうる事件や事故に人間が持つ隠された何かが露見する。完全な善人もいないし、完全な悪人もいない。普通の人でも加害者や被害者になり得るのです。

 登場人物のそれぞれの性格が痛いほどリアルであり、凶暴であったり、従順であったり、卑屈であったりと、特徴がよく現れていました。誰しもが自分が正しいと主張したり、ぶつかり合ったりする世の中。自己中心的であればあるほど対立が生まれ、寛容性が失われていくのだと思うけど、どこかに欠点は存在するものだ。わかりやすい古田新太と松坂桃李の他にも寺島しのぶの善を押しつけるキャラ(唇も押しつけてたが)もいたりして、観客は自然と登場人物と自分とを比較してしまうような多様性もあった。

 普通ならば法律や損害保険などで収まるところ、一つの事件が関係者のみならず、多くの人を巻き込んでしまったのは、怒鳴り散らす主人公の性格や勝手な報道をするマスコミ、さらには隠蔽しようとする教育者やネットで炎上させようとする傍観者たち。情報過多の時代だからしょうがないかもしれないが、どこかで「赦し」、添田充の言葉を借りれば「折り合い」をつけなければならないのだろう。

 様々な性格の登場人物の中で最も感動したのは、事故を起こした女性の母親(片岡礼子)だった。そして、頑固者である漁師を慕う野木(藤原季節)だった。単に謝ったり宥めたりするだけでなく、行動で示すことが大切なんだろうなぁ・・・。そして、バッシングを受けてる人に対しても、弁当が美味かったと言ってたドライバー。捨てる神あれば拾う神ありだよ。

 誰が良いとか悪いとか考えながら見ていくうちに、自分の中にも善悪があるものだと気づく構成にもなっているし、「赦す」ことで多少は前向きになれる作品でした。喪失感を表す空白感と親子が描いた白いイルカ(空と白)のダブルミーニングも絶妙。重いながらも秀作だ!

kossy
kazzさんのコメント
2022年8月5日

レジ袋が悪いのではなく、正しく処分しない人が悪いのだと思うのですが、レジ袋有料化に走っちゃいましたからね。
有料のレジ袋は環境を破壊しないんですかねぇ。
紙袋も有料化したお店は便乗なんじゃないかと思います。
…映画とは関係ないですが、kossyさんのレビューを読んで、つい。すみません。

kazz
asicaさんのコメント
2022年2月3日

タイトルが秀逸すぎます。
でもしかも春からはプラスチックスプーンもフォークも有料化。
私は余り困らない生活してますが困る人はいっぱいいるでしょうね。
袋に関しては未だに呪詛中です。

asica
everglazeさんのコメント
2021年11月20日

空と白!☁️
そこは気付きませんでした!

everglaze
ゆり。さんのコメント
2021年10月7日

kossyさんのレビューを改めて読んで噛みしめています。レジ袋有料化のおかげで万引き被害額が4倍になったとニュースで言っていて、そこまでとは思っていなかったので驚きました。店長がピリピリするのも当然ですね。
あの子は万引きしてないようにも見えましたが、本当のところは分からない、誰もが完全な悪ではないのが上手い演出と思いました。

ゆり。
カールⅢ世さんのコメント
2021年10月5日

こんばんは、レジ袋有料化と万引きの関係知りませんでした。片岡礼子の詫びシーン。あまりに立派な態度と死んだ娘の気の弱さのせいにする内容には、死んだ娘を追い詰めたのはあんたじゃないか、この人が一番モンスターじゃないかと思ってしまいました。良くできている映画だとは思いますが、好きにはなれません。この監督さん、かなりSですね。本当はパワハラ好き?
松坂桃李君もどうせ押し付けられるなら片岡礼子の方が幸せだったかな。

カールⅢ世
M hobbyさんのコメント
2021年10月5日

空白!確かにそのダブルミーニングですね!これはとても良い点に気づかせていただきました。ありがとうございました^_^

M hobby
Marikoさんのコメント
2021年10月3日

見事なレヴューです!

が、ネタバレマークをぜひお願いします

Mariko
NOBUさんのコメント
2021年9月24日

度々・・。
 「ドライブ・マイ・カー」で茫然とし(思わず、売ってしまった過去作を再購入)、「サマーフィルムにのって」で邦画の新たな青春映画に驚き、「子どもたちはわかってあげない」で、沖田修一監督のハイレベルの作品に脱帽し、今作で𠮷田監督の進化した凄さに呆然としているNOBUです。
 ムロ・ツヨシさんの映画も(Kossyさんに教えて頂いたことをタイトルにしました。多謝。)場内から啜り泣きが漏れる中鑑賞し、”今年の邦画、凄いじゃん!”と思いながら劇場を後にしました。
 来週、よーやく公開になる洋画の”ホームランバッター”を楽しみにしております。では。

NOBU
NOBUさんのコメント
2021年9月24日

今晩は
 今年の邦画のレベルの高さは、尋常ではないですね。
 嬉しい限りです。では。

NOBU
満塁本塁打さんのコメント
2021年9月24日

こんにちは、いいね!ありがとうございます。拝読させていただきました。見方も評点も違いますが、全く同感でございます。最後の「あそこのスーパーの弁当、母親が好物で、美味かった、また弁当屋でもやって食わせてくださいよ」ガテン系のアンちゃんの何気の一言が今後、元スーパー店長を突き動かしていくと思いました。レジ袋の件は地球温暖化を考慮しても同感です。ますゴミの切り取り報道や、学校の教頭らしき人が怒りの矛先を避けようと「実は・・あの人には3年前に痴漢したという噂が・・」はチトコレは無いだろと思いました。でも主人公最後にもう少し謝罪の意を示して欲しかったです。娘以外に2人の人生を無茶苦茶にしたのですから。・・あくまで独り言です。長文駄文長々とすいません。お気になさらずに。

満塁本塁打