「人間という極めて不完全な生き物。」空白 ちゆうさんの映画レビュー(感想・評価)
人間という極めて不完全な生き物。
古田新太はとりたたてモンスターというわけではない、ごく普通の思い込みの激しい自己中親父で、人並に家族を愛している。家族とどう折り合ったらいいのかわからないだけなのだ。
松坂桃李はとりたたて善人でも悪人でもない、ごく普通にどこにでもいる、中身の無さげな凡人で、とりわけ家族思いでも、従業員思いでもない。誰とも関わることなくひとりで居たい人。所謂周りとどう折り合ったらいいのかわからない小心者なのだ。
わからないもの同士が各々、現実とどう折り合ったらいいのか模索し続ける様はとても重苦しく呼吸が荒くなる。
だれが被害者で誰が加害者なのか渾沌としてわからなくなってきて・・・
100%の悪人はいないし、100%の善人もいない。
本作は人間という極めて不完全な存在を露呈させた佳作である。
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