僕は猟師になった

劇場公開日:2020年8月22日

僕は猟師になった

解説・あらすじ

2008年に出版された「ぼくは猟師になった」で知られる、わな猟師・千松信也さんに密着したドキュメンタリー。2018年にNHKで放送された「ノーナレ けもの道 京都いのちの」の取材スタッフが300日追加取材した約2年間の映像に池松壮亮のナレーションを加え、劇場版作品として再構成した。京都大学卒の現役猟師という経歴を持ち、京都の街と山の境に暮らす千松さん。ワナでとらえたイノシシやシカを木などで殴打し気絶させ、ナイフでとどめをさす。自然の中で命と向き合う千松さんの日常から真の豊かさとは何かを問いかけていく。

2020年製作/99分/G/日本
配給:リトルモア、マジックアワー
劇場公開日:2020年8月22日

スタッフ・キャスト

監督
川原愛子
プロデューサー
京田光広
伊藤雄介
構成
村本勝
撮影
松宮拓
現場録音
蓮池昭幸
整音
小川武
編集
村本勝
音楽
谷川賢作
語り
池松壮亮
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映画レビュー

4.0 生きるとは命を奪うということ

2020年8月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

京都の森でイノシシやシカを狩って食べるという生活をしている男性に密着したドキュメンタリーだ。当たり前のことだが、生きるとは他の命を奪うということだ。菜食主義かどうかは関係ない。命は命であり、そこにいかなる線引きもできない。しかし、現代人は、命を奪う仕事を効率的に他者に任せることによって、「生きるとは命を奪うこと」という当たり前を忘れることのできる生活をおくっている。
この映画は全編、本物の命のやりとりの迫力に満ちている。しかし、本人にとってはそれは日常に過ぎない。本当はこれをすごいと思ってしまう我々の方が、命の基本原則から外れている。「命を奪うことに慣れることはない」と彼は言う。日々、奪った命の重みを実感することで自分の命の重みも知ることができる。
大きなイノシシとの一騎打ちはスリル満点だ。並の映画では到達できないとてつもない緊張感がみなぎっていた。

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杉本穂高

3.5 罠で行う猟に驚く。あと、猪骨ラーメン!

2020年8月26日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

動物が好きで、動物と自分の関係性を突き詰めた結果、猟師として生きる道を選んだという、京都大卒の主人公に密着したドキュメンタリー。まず、アメリカの動物愛護団体の関係者が見たら、卒倒しそうになるような冒頭のイノシシ猟のシークエンスに唖然とします。猟といっても銃を使わない、獣道に仕込む罠で行う方法が斬新。日本には、イノシシやシカなどの害獣がかつてないほど増えていて、その駆除と処分に自治体が悩んでいるという現実が、主人公の生き様と表裏一体になっていますね。イノシシの骨で出汁を取った猪骨ラーメンを、ふーふーいって食べる子どもたちのシーンが忘れられません。……ああ、美味そう。

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駒井尚文|映画.com編集長

4.5 素晴らしい生き方です!

2025年4月8日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

興奮

知的

難しい

「WILL」の東出さんがオススメしていた千松さんの本を購入。途中まで読んで、U-NEXTで観れたので鑑賞。自分が当たり前のようにお金で買っていた肉に対してズルい感覚を持ったまま生きてきたと言ってました。実は自分もそうで、今年狩猟免許を取るつもり。田舎の方に移住できたら良いのですが・・・
良い師匠さん、理解のある家族に恵まれて素晴らしい生き方をされています。
途中害獣駆除の処理施設のシーンはとても考えさせられる事が多いです。自分達が食べるだけしか獲らない千松さんと駆除して補助金をもらう猟師。農家のためってのもありますが、なんとか食べて供養できないものかと思う。
全ての生きているものの命を奪わなければ生きていけない人間に生まれたのだから、これからも感謝して生きていこうと思いました。

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アマッポ

5.0 「命」と丁寧に向き合うといこと

2021年1月21日
iPhoneアプリから投稿

「肉」を食するということは、もちろん「命」あるものを殺めるということです。

猪や鹿が通るけものみちに「罠」を設置して捕獲し、棒で叩いて気絶させる。その場で素早くナイフで急所を刺し、引きずって運び、丁寧にさばく。

血もたくさん出るし、最期の鳴き声、内臓や骨など、自分が直視できるかどうかわからなかったけど、主人公のあまりにも丁寧な所作に、生命の尊さを映像からも充分に感じ取ることができました。

子どもたちも、小学生になったら父と一緒にナイフでさばく手伝いをするし、明るい奥さんの表情なども含めて、素敵なご家族の一面も垣間見ることができました。

そして、この作品が秀逸なのは「命」に丁寧に向き合うご家族との対比として、猪や鹿が農作物を荒らす「害獣」として殺処分されるという一面も捉えているところ。

テクノロジーを駆使して遠隔操作で捕獲したり、捕獲された猪や鹿を、ゴロゴロと運びながら焼却場で機械的に処分する。

現実を知らないことが多いので、語りすぎないようにしたいけど、命との接し方を逃げずに捉えたドキュメンタリー作品として、秀逸でした。

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まさ