劇場公開日 2021年2月5日

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「期待せず観に行ってきました」樹海村 午後の映画さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0期待せず観に行ってきました

2021年2月7日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

怖い

知的

ここのレビューを読み、
全く期待をせずに観に行ってきましたが、
予想を遥かに超えてくる良作でした。

純粋なホラー映画と言えるのか?
と一点に関しては他の評価の低いレビュアーさんに同意です。
ただ、単純に映画としての面白さとしてはかなり純度の高い作品として言って良いと思います。

内容に関しては他の方も触れていますので割愛いたしますが、
犬鳴村、樹海村は
「一つの踏み絵」の様な気がします。
昨今の邦画の様に、
分かり易い説明はありません。
ありがちな日常会話であり得ない様な
セリフでの補足は無く、
映像の空気感やカメラワーク、
タイムラインなど、
何気ない一コマからの情報を作中から汲み取る能力が問われます。
なので集中が途切れ、
「言葉に無い余白」を補完出来なければ面白くなくなるのはとても理解できます。
ジズソーパズルの様に一つでもピースが足りなくなると、完成しない作品であると。
何やら清水崇や脚本家に試されている様で腹立たしくもあるのですが、
点と点が線となり、
絡まった糸が解けていった時に全身の毛が逆立つ感覚を覚えました。

前作、犬鳴村もレビューでは散々でしたが、
ヒットした要因がそこにあるのかと思います。
意図を理解が出来なければつまらなくて当然。
先入観がない柔軟な若い層に支持をされた。
この事実に清水崇の進化を感じます。
逆に言えば、呪怨を追いかけてきた清水崇ファンの方々にはオススメしません。

また、脚本家の保坂大輔は清水崇とのタッグも多く、難解なシナリオが多い印象です。
ただ難しいだけではなく、
得意とする入り組んだタイムラインの中に
日本人らしい侘び寂びや情緒、憂いを持たすニュータイプの作家であり、
唯一、世界で戦える日本人脚本家なのではと今後を期待しています。

これからも清水崇監督には賛否を恐れず、
新しい映画を更新していって欲しいです。
邦画でこの感動を得れた事を日本人として誇りに思います。

午後の映画