劇場公開日 2021年2月5日

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「物語のまとまりに欠ける」樹海村 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0物語のまとまりに欠ける

2021年2月15日
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鑑賞方法:映画館

怖い

ワンデーフリーパスポートの4本目

せっかくのフリーパスポートなので1本でも多く観ようと思ったものの、本作以外に観るものがなく、ホラーは苦手なのですが、がんばって挑戦してきました。

本作は、富士の樹海を舞台に、コトリバコを絡めて描くホラーです。ホラーが苦手な自分でも最後まで鑑賞できたので、ホラー好きにはおそらく物足りないのではないかと思います。

ストーリーは、奇妙な箱を見つけた姉妹が、知人が次々と謎の死をとげる中、幼き日の記憶を頼りに箱の秘密に迫るというものです。自殺の名所として有名な富士の樹海と、呪いのアイテムとして名の知れたコトリバコの組み合わせは、悪くないと思います。そこに姉妹の絆や母の愛を重ねていくのも、物語に深みを与えるにはよかったと思います。

しかし、そのいずれもがどうにも中途半端で、消化不良なのはいただけません。まず、物語の中心となる男女の関係性がよくわからないままコトリバコが登場します。しかも、コトリバコの説明もほぼ皆無。いくら呪いの有名ネタとはいえ、本作における解釈なり役割ぐらいは描くべきではなかったかと思います。

そして、響と鳴と母をめぐる物語。伏線を張りながら観せ、最後に回収するものの、これまた説明不足とつながりの悪さで、わかりにくいことこの上なかったです。作品全体の根幹をなす部分でありながら、これが観客に伝わらないので、鑑賞後の爽快感や満足感が著しく損なわれます。せめて、ここだけは丁寧に作ってほしかったです。

とにかく映像的にも物語的にもつながりが悪く、総じてわかりにくかったです。そのため、恐怖よりも疑問が先に来てしまった印象です。樹海とコトリバコと親子の物語という発想はおもしろくても、それが脚本としてまとまってないように感じました。

樹海をレポートするユーチューバーのくだりは、ネット画面を見ているような映像がおもしろかったり、終盤のCGもなかなか見ごたえがあったりと、ところどころいい場面はありました。それだけに、脚本がもう少し練り上げられていれば…と思わなくもありません。

おじゃる