「悪くないですよ。B級ホラーとして十分楽しめますし前作未見で問題なし」樹海村 Toshiakiさんの映画レビュー(感想・評価)
悪くないですよ。B級ホラーとして十分楽しめますし前作未見で問題なし
前作は一般にも知られる都市伝説をベースにしたのでまだ普遍的題材(?)と言えたかも知れないが、今作はズバリオカ板ネタで来たのでそちらの層からのシビアな批評も覚悟の上でのチャレンジでしょう。
以下、やや若干のネタバレを含みます。
映画に対して、全体的なバランスであるとか物語の整合性を求める方には向かないタイプの造りだが、そんなコトよりもB級C級ホラーのフィーリングやテイストを重視するという方には、それなりにお勧めできると思う。
物語当初から、(恐らく意図的に)正確な時系列や人間関係の分かりやすい描写が排除されているため、この人はお母さんなのおばあちゃんなの?、兄妹なの?ただの幼馴染なの?、若い学生さんだと思ったらタバコ吸う年齢なの?、あれいつ帰ってきたの?などなど細かな疑問や違和感が続出していちいち気になってしまうし、場面展開のテンポも良いとは言えないが、雰囲気はそれなりに楽しめた。
元ネタを知る層からの観点で見ると、やはり樹海村とコトリバコの組み合わせは相性が悪い。樹海村は単体で十分に膨らませられる余地があるネタだし、コトリバコに村を絡めて広がりを求めるなら、現代的で平和な暮らしをしている都会の若者達と、一見のどかで平穏だが高齢化が進み過去の秘めたる因習や伝承も途絶えつつある限界集落・・・みたいな舞台を用意した方がよりしっくりきたのではないか。悪乗り的な方向性で敢えてこの組み合わせにしたのかと疑いながら観ていたので、寺生まれの子の名前がTさんなのかとドキドキしながら観ていた(Tさんじゃありませんでした)。
悪乗り的傾向が無いかと言えば、そんなこともない。随所に過去作品のパロディ的な場面があるので、映画マニアであればちょいちょい気付くかと。全ての映画に「これはアレのオマージュ」「これはアレをカリカチュアライズした」「ここはアレの剽窃」と断ずる某評論家にかかれば全シーンをこの方向で解説可能だろう。ただ観ていて別段気になるものではないし、元ネタを知らずとも一切問題ない。
ホッケやマウに興奮した世代としては、(今風におちゃらけyoutuberを利用したとはいえ)現凸の面白さと、それを安全圏から囃し立てるネット民の無責任で能天気な盛り上がりがあったのは楽しめたが、ここはそれらをもっと極端に描写した方がかつての2ちゃんねるオカ板の雰囲気が出たと思うし、シナリオ的に強弱がついたのではないか(陳腐な現代風刺のような描写にすると、陳腐さが増すと思うが)。正直、B級ホラー好きとしてもオカ板民としても、もっと露骨なくらい2ちゃんねる感を追求した方が盛り上げられたと思う。
尚、オカルト好きにはお馴染みの人員が多数協力しているようで、エンドロールには吉田 悠軌氏、TOCANAの角由紀子氏、村田らむ氏等々・・・名前が挙がる。次回作では、企画段階からこうしたオカルト業界のベテラン陣の意見を取り入れて、更にヘンテコな映画を作ってくれることを願う。